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生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。
2024/06/25
思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師が、女性特有のからだの不調や病気のことを解説します。
毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。
これから2回にわたり、女性の健康とホルモンの関わりや、女性ホルモンに関係する病気について解説していきます。
女性の体内では、卵巣からエストロゲン、プロゲステロンという2つのホルモンが分泌されますが、このホルモンは女性の健康に大きな影響を与えています。女性ホルモンの分泌量は、月経周期や年齢によって変動があります。その変化によって、様々な症状を引き起こすことがあります。
女性ホルモンの分泌によって、女性の体内で特有の変化が起こるということを知るだけでも、生活のしやすさ・過ごしやすさ、健康管理、仕事・家事への取り組みやすさにつながるかも知れません。
女性ホルモンの働き
女性ホルモンは、女性が妊娠して出産するために備わっているホルモンです。ホルモンは、排卵して妊娠できるよう整えるだけでなく、女性の体を出産に耐えうる状態にする目的で、全身に働きかけがなされています。例えば、免疫機能や自律神経、関節や筋肉など、全身にさまざまな影響を及ぼしているのです。
女性ホルモンは、妊娠・出産のためだけではなく、女性の心身を健康に保つため、様々な働きをもっています。免疫機能・自律神経・血管・骨・筋肉・関節など、全身のあらゆる組織・臓器・機能が、女性ホルモンの影響を受けています。
女性のライフステージとは?
女性のライフステージは、思春期・性成熟期・更年期・老年期と大きく4つに分けられます。
① 思春期(10歳〜18歳ごろ)
女性ホルモンの分泌量が増え始め、妊娠・出産に向けた準備が行われる時期です。体が変化し、月経が始まり、精神的にも成長します。女性ホルモンの分泌が安定するまでは、月経痛や月経不順、不正出血などの症状が出やすい時期でもあります。
② 性成熟期(18歳〜45歳ごろ)
女性ホルモンの分泌が安定し、体が妊娠出産に適している期間です。就職・結婚・出産・育児など様々なライフイベントが重なることもあり、心身ともに変化を受けやすい時期です。子宮や卵巣に関連する病気や、性感染症も増えてきて、それらが将来の妊娠・出産に関わることもあります。今だけではなく将来も、より健康に過ごすために、10~20代から自分の健康管理を意識する習慣をつけましょう。
③ 更年期(45歳〜55歳ごろ)
「閉経」とは、月経が完全に停止した状態のことをいい、12カ月間月経がなければ、1年前を振り返って「閉経」と判断します。日本人の閉経の平均年齢は50.5歳ですが、閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間を「更年期」といいます。
女性ホルモンが減少し閉経を迎えますが、更年期症状には個人差があります。ほとんど症状を感じない人もいれば、日常生活に支障を来すほどの強い症状が出る人もいます。
④老年期(55歳ごろ〜)
更年期が終わり老年期に入ると、急激な体調変化は少なくなりますが、老年期に特徴的な症状もあります。女性ホルモンはさらに減少するため、生活習慣病や骨粗鬆症が増えます。泌尿器系や外陰部にかかわるトラブルが生じることもあります。
このように、女性の心身の変化は、生涯にわたって女性ホルモンと大きくかかわっていることがわかります。これらのホルモンバランスは、みなさんのライフイベントや社会的環境とも深く結びついています。
今も、そして将来も、より健やかに過ごせるように、ライフステージごとにあらわれやすい変化や症状などの知識を持ち、自分の健康管理を大切に、心と体と向き合いましょう。
産婦人科では、女性特有の体の変化や体調などに対して、診断・治療を行っています。生活のしづらさや体の辛さで悩むことがあれば、ぜひ産婦人科で相談してみてください。
次の記事では、各ステージで悩みやすい体の不調についてお伝えします。
山西 恵(やまにし めぐみ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。
学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。
悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。