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2022/07/19
大人になると、自分の気持ちを素直に表現することが少なくなると言われています。
そのような日常でも、季節の変化を楽しんだり、近況を視覚的に伝えたりする手段として、絵手紙が人気のようです。
絵手紙は、美術展に出品する「作品」ではなく、あくまで日常での気持ちを伝える「手紙」なので、気軽に取りかかれるところが人気なのかもしれません。
ありのままの気持ちを描くため、多少、形がデフォルメされていたり、色がビビッドであったりしても、かえって素敵に見えることも魅力の1つです。
基本的に、どんな絵の具でも描けますし、筆記用具の決まりもありません。
しかし、どれから手をつけるか迷うのであれば、日本画用の絵の具をチューブやパレットでセットにしている「顔彩」に挑戦するのは、いかがでしょう? 落ち着きのある色合いが人気のようです。その他には、小・中学校の図工・美術でおなじみの水彩絵の具、乾きが早く、色の種類も多いアクリル絵の具などでも良いでしょう。
それらの絵の具を使うときに、上から見たときの形が梅の花に似ている「梅皿」を用意すると、本格的な気分が味わえます。プラスチックのパレットでも良いですし、使っていない小皿などでも代用できます。「筆」、「墨・硯」、「はがき」を揃えると、すぐに取りかかれます。もっと気軽にはじめるなら、色鉛筆やクレヨンなどでも構いません。「はがき」も官製はがきの他、文房具店や画材店では、和紙をはじめとした様々な種類の紙で作られた「はがき」があります。
道具も揃いました。さて、私たちが、イザ!真っ白なはがきに描こうとするとき、頭の中は、どのように働いているでしょう?
◎ 何を描こうか計画を立てる (前頭葉)
◎ 視覚を通して全体像を把握・認識する (後頭葉)
◎ 様々な感覚情報を統合して想像する (頭頂葉)
◎ 今までの知識(過去に見た形や色)や経験をたどり、ふさわしい色や形を判断する (側頭葉)
◎ それらの情報をもとに実際に手を動かし、描画や着色をする (前頭葉)
このように、脳は広範囲に活発に働いています。
また、集中して描いたり、色を塗ったりすることで、自律神経の働きが整い、リラックス効果があるという研究報告もあります。
上手や下手というのは関係なく、楽しみながら脳を活性化させ、自分もリラックスできる上、送った相手にも喜ばれると、なおさら嬉しいですね。
絵手紙は、ハードルが高いと感じられる人には、最近、中高年にも人気の「ぬり絵」や「マンガ」「イラスト」などもいいですね。いろいろな形を作る「折り紙」も、同様の効果が期待できます。
体を動かすには、脳からの信号が筋肉や神経に届いて、筋肉がその信号どおりに動く必要があります。筋肉を鍛えることも、脳を活発にすることも両方とも大切です。
しっかり観察したり、見たことを再現したりする絵手紙のような楽しみは、脳トレになり、手指の器用さの維持にもなるので、生活の中に取り入れてみてください。
文・・・日本赤十字社和歌山医療センター リハビリテーション科部