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筋力をアップしたい、肩や腰の痛みを軽減したい、身体の柔軟性を保ちたい・・・運動機能を維持・向上させ、いつまでも健康な身体でいられる運動やコツをご紹介します。
2022/06/21
新型コロナウイルス感染症の影響で、外に出ることが少なくなったという人も多いと思います。
あまり体を動かさないことが続けば、徐々に身体や心の働きが低下し、健康を脅かすことにつながります。リハビリテーションの分野では、こういう状態を「生活不活発病になるリスクが高まる」と言います。
自宅で「ちょっとした活動」を続けていくことが、実は、運動不足や認知症予防につながります。
「ちょっとした活動」の1つが、「料理」です。
『料理は、最高の脳トレ』と言われていることをご存知でしょうか?
料理と脳の関係について
料理すると、脳の前頭葉という部分が活性化することが明らかになっています。この前頭葉は脳の司令塔的な役割を担っていて、前頭葉が活発に動いていると、頭の回転が早くなります。
料理するときは、「必要な食材や器具をそろえる」「調理方法や調理の順番を考える」「献立のバランスや食卓に並べるまでの段取りを考える」など、同時並行で複数の作業を行う(デュアルタスク)ことが多いです。
この同時並行作業が、前頭葉を鍛えるのにとても効果的だと言えます。実は、新しい挑戦をすると、前頭葉がさらに活性化することも分かっています。
「新しいメニューを作ってみる」「普段、料理をしない人も料理をしてみる」なども良いでしょう。
さらに、料理は手をよく使います。
手は、「第2の脳」とも言われているのを知っていますか?
実は、手と脳には深い関係があり、手の細かい運動は脳の活性化にもつながります。手を使うと、使わないときに比べて、脳の血流量がおよそ10%上がるそうです。
最近は、簡単な調理法が人気のようですが、手をよく使う作業や、繊細な作業に慣れている場合は、「皮むき器ではなく、包丁を使って皮をむく」「餃子などのように、指先を使って包む」「手に力を込めてこねる」などの作業をするのも脳の活性化の面では良いと言えるでしょう。
料理と運動の関係について
料理するときは、シンクやコンロの前に立って調理したり、冷蔵庫や食卓の間を言ったり来たりします。気づかないうちに、体を動かしています。
日本人で中肉中背の大人を想定すると、例えば、20分間立った状態で料理したら42Kcalの消費につながり、歩数に換算すると1,400歩も歩いたと同じカロリーを消費したことになります。
同様に、料理の片付けを20分間行うと、53Kcalの消費で1,750歩のウオーキングと同等になります。
このように、自宅でできる家事が、知らず知らずのうちに運動不足解消にもつながっています。家事は、わざわざ外に出歩かなくてもできる、とても良い「運動」と言えます。
下に、家事で消費できるカロリーや歩数の目安を示します。
料理や新しいこと、ちょっとした家事で脳を活性化させ、運動不足も解消しましょう。
文・・・日本赤十字社和歌山医療センター リハビリテーション科部