いつ来るか分からない災害。日赤和歌山医療センターは、どんな対策をしているの? どんな概念や指針、ガイドラインで対策しているの?ちょっとマニアックな情報をお届けして いきます。赤十字の病院が行う救護について知っていただけたら幸いです。

EMISとは…?

2020/12/17

今回は、災害時の情報収集や発信など、災害情報の共有のためのシステムであるEMIS(イーミス)について、お話しします。

 

EMISとは、広域災害救急医療情報システムのことで、英語表記 Emergency Medical Information Systemの頭文字をとってEMISと呼ばれています。

 

大規模な災害が発生すると、多数の傷病者が医療機関に搬送されるなどで医療ニーズが急増しますが、一方で、医療機関も被災している場合、人員や医療資機材(医療機器や薬剤、備品など)の医療資源が制限される状況となり、医療ニーズと医療資源のアンバランスが生じます。

 

このアンバランスを解消し、1人でも多くの傷病者に適切な医療を提供するためのシステムがEMISです。

 

開発のきっかけとなったのが1995年に発生した阪神淡路大震災です。

 

阪神淡路大震災が発生した時、被災地の医療機関はそれぞれが「最後の砦」の決意でベストを尽くしましたが、情報の共有手段がなかったため、図に示すようなことが起こりました。

 

 

Aの大学病院には震災当日に100人を超える医師が待機していましたが、336人の傷病者(医師1人あたり3.3人)が運び込まれただけだったのに対し、規模の小さいB病院には医師が7人しかいないにもかかわらず、1,000人を超える傷病者(医師1人あたり147.6人)が運び込まれるという医療の不均衡が発生しました。

 

また、病院自体の倒壊やライフライン(電気、医療ガス、水道など)の途絶により、機能が麻痺し、満足な医療活動が行えなくなることも起こりました。

 

これらによって、阪神淡路大震災では500人を超える「防ぎ得た災害死」が発生したと言われています。

 

この教訓から、災害時に被災した都道府県を超えて、医療機関の状況についての情報を共有し、被災地域で迅速かつ適切な医療・救護に関する多くの情報を集約・提供することを目的に、EMISは開発されました。

 

EMISの主な機能としては、

①病院の被災状況、避難所等情報の入力と確認

②救護班の活動状況

③DMATの活動管理

④緊急情報・掲示板

があります。

 

①は、各医療機関が自施設の被災状況、患者さんの受入れ状況、職員数などを入力することで、他の機関や医療チームがその情報を閲覧でき、その施設がどのような状況になっているのかを把握し、医療ニーズを確認できます。

 

②は、救護班やDMATチームが状況や医療資機材を入力したり、各チームや医療機関が入力した情報を閲覧でき、現地の医療資源の情報となります。

 

③は、DMAT都道府県調整本部や活動拠点本部の体制図、連絡先や活動記録を確認できます。

 

④は、厚生労働省への緊急情報の連絡や、道路情報、必要と思われる情報を掲示板にあげ、情報共有を行うことができます。

 

 

このようにEMISは、DMAT・救護班・医療機関・都道府県や区市町村・保健所・消防など被災地の内外の関係機関が活用することで、情報を共有し、円滑な連携を行うことができるので、いまや災害医療に無くてはならないツールとなっています。

 

次回も、「EMISでできること」と題し、続きをお話します。

 

 

≪災害医療救援センター≫

 

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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