がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

患者さんによりやさしいロボット支援下内視鏡手術

2020/06/16

今回は、新しい内視鏡外科手術であるロボット支援下内視鏡手術(以下、ロボット手術)についてお話しします。

 

ロボットとはいえ医師の操作で動く

 

ロボットと言っても、皆さんが想像するロボットとは少々違いがある…と思います。

ロボットが自ら考え、勝手に動いて手術を行うわけではないのです。

 

ロボット手術とは、これまで行っていた内視鏡下手術に、カメラや3Dハイビジョン画像など医療機器の優れた機能を、高度なコンピューターシステムで組み合わせて発展させた手術法です。

 

このシステムは米国で開発されました。これにより医師が患者さんに直接触れずに手術ができるようになりました。医師はロボットアームを遠隔操作しながら、モニターで患部の3D画像を見て手術を行います。

 

 

ロボットのサポートでより精度の高い手術を実現

 

ロボット手術は、患者さんのお腹にいくつかの小さな穴を開けて始まります。手術支援ロボットの内視鏡カメラと3本のアームを患者さんの体に挿入し、医師が数メートル離れたコンソール(操作席)に座って高画質な3D画像を見ながら装置を動かします。すると、その医師の手の動きがコンピュータを通してロボットに忠実に伝わり、手術器具が連動して手術を行います。

 

お腹に開ける穴は1㎝前後です。とても小さいので、従来行っていた内視鏡下手術と同様、患者さんへの体の負担が少ないことが特徴です。

 

また、ロボットアームは非常に精度良く動かすことができるため、人間の手が入らないような狭い空間でも細かい手術ができるという利点があります。また、人間の手首などの関節は動かせる範囲が決まっていますが、ロボットアームの場合、人間の動かせる範囲を超えて操作することができるので、そういう点でも緻密な手術が可能になりました。

 

しかし、どこの医療施設でもそうなのですが、医師の誰もがロボット手術ができるという訳ではありません。『ロボット支援下内視鏡手術の手術資格申請者見学指定施設(メンターサイト)』で、一定のトレーニングを積んだ医師だけが、ロボット手術を行うことを許されています。もちろんですが、ロボットが医療施設に導入されていることも前提です。

 

 

保険適用と最新型ロボットで手術対象拡大

 

ロボット手術は、2012年前立腺がん治療に対して健康保険の適用が認められ、2016年に腎臓がん、2018年には食道がん、胃がん、直腸がん、膀胱がん、子宮体がん、縦隔がん、肺がんなど12種類まで対象が拡大されました。

 

保険適用が大きく広がったことにより、ロボット支援下内視鏡手術を行うことができる施設が全国に増えました。また、多くの患者さんにロボット手術を受けていただくことができるようになりました。

 

 

当センターでは、2013年2月に手術支援ロボット「ダヴィンチSi」を導入。まず、前立腺がん治療を開始し、2016年には腎臓がんも開始しました。

 

また、2017年3月に最新型の手術支援ロボット「ダヴィンチXi」に更新し、新たに胃がん治療を積極的に実施し、2018年4月以降は食道がん、直腸がん、子宮腫瘍と順次、対象を広げ実施しています。最新機器への更新により、より精度の高い手術も可能となりました。

 

胃がんにおいては、手術資格申請者見学指定施設(メンターサイト)に認定されましたので、全国の医療施設の指導者的な役割も担っています。これからも技術力の向上ならびに、指導者による人材育成に努めていきます。

 

 

 

平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)

日本赤十字社和歌山医療センター院長

1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員などを務めるがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年から現職。

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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