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少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。
2020/05/01
鮮やかな新緑と木々を揺らす風が心地よい季節になりました。
けれども、残念ながら今年の春は、新型コロナウィルスの流行によりお出かけは自粛ですね。仕方なくテレビをつけてみれば、そこでは新型ウィルスによる世界的な被害が報道されていて、なんだか逆に気分が滅入ってしまうこともあります。
先日、「こんな時は本でも読もう」と本棚に向かったとき、一冊の写真集が目につきました。ずいぶん前に友人がプレゼントしてくれたハワイの写真集です。
ページをめくってみると、透き通るような青い海、悠々と泳ぐウミガメ、色鮮やかなピンク色の花々、降り注ぐ太陽、大きなハンバーガーを頬張る笑顔!最後のページを閉じる時には、もうすっかりハワイにいる気分になっていました。
以前、この『こころの扉(2019.7.5公開「緑の影響力」)』で、自然に触れたり、緑の木々を眺めることがストレス解消につながるとお話しましたが、この自然によるストレス低減効果は、映像などを介してでももたらされることが近年の研究で明らかになってきました。
例えば、2015年に立命館大学で行われた研究では、自然の映像または音を視聴するだけでネガティブな感情が低減して、ストレスが和らぐことが報告されています。
また、映像だけでなく写真のような静止画でも、緊張感や不安感を減少させ、ストレス低減効果に繋がるといった別の研究もあります。
もちろん、映画や小説、ゲームでも、私たちは自宅に居ながらにしてさまざまな世界を仮想体験することができるでしょう。
感染拡大を防ぐためには自宅で過ごすことが大切ですが、長期戦になればなるほど、ストレスにならない過ごし方を工夫したいものです。
今週末は、遠くでがんばっている友人たちと予定を合わせ、オンラインでおしゃべりでもしませんか?
坂田 真穂(さかた まほ)
日本赤十字社和歌山医療センター公認心理師(非常勤)、2005年より職員のメンタルヘルス支援を担当。臨床心理士、シニア産業カウンセラー。
相愛大学准教授、専門は臨床心理学。教育学博士。主な著書に『いのちを巡る臨床―生と死のあわいにいきる臨床の叡智』(創元社, 2018)など。