少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

ストレスにも、癒しにも・・・

2021/12/03

 

社会人3~7年目を対象にしたある調査で、「現在、仕事でのストレスを感じていますか?」という問いに72.4%の人が「感じている」と答えたそうです。

 

そのストレス要因の第1位は、 「社内の人間関係」でした。

 

確かに、社内の人間関係は気を遣うことも多く、毎日同じメンバーで顔を突き合わせているからこその煮詰りもあるでしょう。

 

この人間関係のストレスは、意外なことに「人間関係の中で癒される」といわれています。つまり、気心の知れた友人や安心できる家族との関係の中で、ありのままの自分を取り戻すことが、ストレス解消につながるのです。

 

逆をいえば、ストレスを感じるような人間関係が多く、ストレスを解消できるような人間関係を持たなければ、ストレスは溜まってしまう一方だといえます。

 

しかし、私たちが友人たちとのコミュニケーションによく使うLINEなどのSNSでも人間関係の疲れは生じます。

 

かつて「SNS疲れ」といえば、相手にメッセージを読んだことを伝える既読表示が精神的なプレッシャーになることを指していました。

 

しかし、最近では、自分が知らないSNSグループの存在を知ることで、仲間外れ感を感じたり、抜けたいグループから抜けられずにいることが、新たな疲れを生んでいるようです。 

 

本来、会話というものは、興味のある話題であれば自然と入り、飽きたら抜けるという緩さがありました。

 

また、仲のいいメンバーもその時々で流動的に変わるなど、人間関係も曖昧でした。

 

しかし、SNSにはこの緩さや曖昧さが無く、グループが固定的であるが故に仲間外れ感や抜け辛さを感じてしまうようです。

 

働く世代のストレスが社会問題として注目される現代、仕事のストレス増加だけでなく、癒されるはずの人間関係に緩さや曖昧さが減っていることも、私たちの疲れに繋がっているかもしれませんね。

 

 

 

坂田 真穂(さかた まほ)

日本赤十字社和歌山医療センター公認心理師(非常勤)、2005年より職員のメンタルヘルス支援を担当。臨床心理士、シニア産業カウンセラー。

相愛大学准教授、専門は臨床心理学。教育学博士。主な著書に『ケア ー語りの場としての心理臨床ー』(福村出版, 2020)など。

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