少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

やるべきことから逃げてしまいそうなときに

2021/08/06

 

やらなければならないことがあるのに、なかなか取りかかれずにスマホ動画を見ている・・・そんな経験はありませんか?

 

目の前にある心地良さや一時的なラクさに負けてしまうことは珍しくありません。

 

そうして過ごしてしまった後、後悔と自己嫌悪に苛まれることになるのですが・・・。

 

私も切羽詰らなければ動けないタイプで、先々困るのが分かっているのに、億劫なことはついつい後回しにしてしまいます。

 

忙しい時に限って、部屋の大掃除を始めてしまうという人もいるようですが、これは心理学では「道徳的補完」といって、やるべきことを後回しにする負い目から、他の良い行動や生産的活動をして、罪悪感を埋め合わせる行為だといえます。

 

ところで、ウォルター・ミシェルという心理学者が行った『マシュマロテスト』と呼ばれる有名な研究をご存じでしょうか?

 

4歳児に、「目の前のマシュマロを15分間食べるのを我慢できたら、2個にしてあげる」といって立ち去り、我慢できるのかどうかをみる実験です。

 

その後の追跡調査の結果、我慢できた子どもは、成長後も自制心が持続し、成功を収めていました。

 

ここで、興味深いのは、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまい、目をそらしたり、後ろを向いたりして、マシュマロから注意を逸らした子どもは我慢できる確率が高かったことです。

 

どうやら、誘惑から上手く離れることが、自制心を働かせるコツのようです。

 

やらなければならないことがあるのに目の前の娯楽やラクさに負けそうなときは、敢えてそこから離れて、たとえば、図書館やカフェなどに身を置いてみるのが良いかもしれませんね。

 

 

 

坂田 真穂(さかた まほ)

日本赤十字社和歌山医療センター公認心理師(非常勤)、2005年より職員のメンタルヘルス支援を担当。臨床心理士、シニア産業カウンセラー。

相愛大学准教授、専門は臨床心理学。教育学博士。主な著書に『ケア ー語りの場としての心理臨床ー』(福村出版, 2020)など。

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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