日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

感染を予防するための行動

2020/03/13

WHOから新型コロナウイルス感染症によるパンデミック(世界的な流行)が宣言され、流行拡大防止のために、世界各国がより一層の防止策を実施していくことになります。予防に推奨される商品の品薄などが目立つ中、いったいどうしたら予防できるのか、予防できると言われていることは本当に効果があるのか、改めて適切な予防方法をご紹介していきます。

 

当センターは、和歌山県内で唯一の第一種感染症指定医療機関ですので、常日頃から様々な感染症の患者さんを治療しています。その中には、今回の新型コロナウイルス感染症と同じ「飛沫感染」「接触感染」で感染する疾患もありますが、医療施設では、感染が確定していたり、感染を疑う患者さんと接するときは、自分を防護する装備を身に着け、他の人に感染させないように、その防護品も含め適切な処分をします。

 

 

今回は、医療従事者が実践している日常での予防方法、家庭内での感染防止法をご紹介していきます。できそうだと思われることを取り入れ、健康に過ごしていただきたいです。

 

予防方法の前に、「飛沫感染」「接触感染」をおさらいしましょう。

「飛沫感染」は、ウイルスや細菌を持った人が咳やくしゃみをしたときに飛び散るしぶきを吸い込んだり、鼻や目の粘膜に付着して感染することです。「接触感染」は、ウイルスや細菌が付いたドアノブなどに触れた手で、口や目などを触って粘膜に入り感染することを言います。

 

ですから、もっとも身近で効果のある予防方法は、手洗いです。

 

予防方法① 手洗い

石鹸をつけて、手のひらだけでなく、指の間、爪のまわり、親指の付け根、手首までしっかり泡立てながら15秒以上しっかりこすり、その後、流水で15秒くらいかけて泡を流しましょう。長く洗うことが難しい子どもさんや、ついせっかちになってしまう方は、短めの童謡や歌謡曲などを口ずさんだりして、時間をかけて洗う習慣をつけていただきたいです。

 

また、手洗いをより効果的にするタイミングがあります。それは、①食事や間食など食べる前、②外出先から帰宅したとき、③トイレの後、④歯磨きの前、⑤鼻をかんだ後などです。アルコール消毒液などは、この手洗いの代用になります。品薄が続き、消毒できないとあきらめることも聞きますが、手洗いとアルコール消毒のどちらかでよいので、原点に戻り手洗いを励行してください。

 

そして、意外と知られていないことは、手に傷をつけないように注意することです。傷があると、痛みがあって十分に手洗いできなくなったり、その傷口から菌なども入りやすくなってしまいます。作業するときにゴムやビニールの手袋をつけて保護したり、ささくれ(さかむけ)などができたときも無理に引っ張って傷口を大きくしないよう爪切りなどで切るようにしましょう。

 

予防方法② マスク

マスクは、風邪などにかかっている人が咳やくしゃみをしたときに周囲に感染させない「咳エチケット」として着けていただきたいです。

 

マスクを着用する場合は、鼻の孔の上からあごまでしっかり覆い、隙間を少なくするよう、肌に密着させるように着けましょう。はずすときは、マスクの表面にウイルスが付着しているかもしれないので、耳にかけるゴム紐をもってはずしましょう。

 

マスクを着用すると、無意識のうちに鼻や目を触ったり、手を持っていこうとしていることに気づきます。顔を触らないように心がけるとともに、触る前に手を洗うようにしましょう。

 

予防方法③ 触るところをふく

 

家庭内や職場などで感染を広げないために、多数の人が頻繁に触るところを拭いて、付着しているウイルスを減らすことも効果があります。

 

アルコールや漂白剤を5%程度に薄めた水を用意して、ドアノブやテーブル、電気のスイッチ、冷蔵庫の扉、テレビのリモコンなどを拭きます。咳やくしゃみをすると、そのしぶきは2メートルほども飛ぶと言われていますので、その範囲を拭くことも効果があります。

 

ただし、漂白剤を薄めて使用した場合は、金属が錆びたり、色が変わったりすることもありますので、拭いた後すぐに水拭きしてください。

 

予防方法④ タオルを共有しない

家庭内では、洗面所やトイレでタオルを共有することが多いと思います。しかし、家族の誰かが感染している場合、その人が使ったタオルで他の人が手を拭くと、ウイルスや細菌が他の人の手に付着してしまいます。

 

個別のタオルを用意して、それぞれのタオルで拭くようにしましょう。また、タオルなどは、湿気と温度によってウイルスや細菌が繁殖しやすいので、こまめに取り換えましょう。感染が疑わしい場合やノロウイルスなどで下痢している場合は、使ったタオルを漂白剤で漬け置きしてから洗濯し、除菌するようにしましょう。

 

トイレなどで、それぞれのタオルを使うことが難しい場合は、一時的にディスポ(使い捨て)のペーパータオルを使うことも一案です。飲食店などのトイレや洗面所で見かけたことのある方もいると思います。使ったペーパータオルは、ビニール袋に入れ、触らないようにして捨てましょう。

 

予防方法⑤ 食事を個別に盛り付ける

 

唾液にもウイルスが含まれます。家庭内では、同じ鍋料理を食べた複数人が同時にインフルエンザにかかるなどの症例もあり、直箸で複数の人が食材に触る大皿料理は避けて、個別に料理を盛り付けるようにしましょう。外食でもバイキング料理を避けるように注意喚起されています。

 

もし、家庭内で感染を疑う症状がでた場合は、食事を個別にとり、食事中の会話での飛沫感染を防ぐようにしましょう。感染を疑う場合に、食器は漂白剤を薄めた水に漬けてから洗ったり、熱湯を回しかけてから洗剤でよく洗ったり、食洗器で高温洗浄するようにしましょう。紙皿などを用いるのも一案です。

 

予防方法⑥ ゴミ袋の口を結ぶ

 

使用したマスクや、鼻をかんだティッシュを捨てるときは、ゴミ箱に直接捨てずに、小さな袋に入れてその口を結び、できるだけ触らないような工夫をしましょう。特に、子どもがいたり、ペットを飼っている家庭では、ついうっかり使用済みのモノを触らないようにすることも家庭内の感染リスクを減らします。

 

予防方法⑦ 外出先でアルコールを置いている場合は…

 

感染対策では、①自分が汚染されているかもしれないので、入る前にアルコールで自分の手を消毒し、持ち込まない、②出るときは、汚染されたものを触ったかもしれないので、アルコールで手を消毒してから出る。入るときと出るとき、両方して効果があると考えます。どちらか片方ではなく両方のタイミングで、手洗い同様に指の間や手首までしっかり擦り込みましょう。

 

 

 

ウイルスや細菌は目に見えないため、不安や恐怖心を大きく感じる場合もあるかもしれません。しかしながら、適切な予防方法や感染拡大防止方法を知って、過度に怖がらず、用心しながら過ごしていただきたいと思います。

 

感染しないための行動を根気よく実施するとともに、自身の健康状態を良好に保つために、①適度な運動、②バランスの良い食事、③十分な睡眠、④一人でも楽しめる趣味でストレスを発散したり、笑顔であいさつするように心がけるなど、気持ちを明るくする行動も励行しています。

 

参考になることが1つでもあれば、幸いです。

 

これらの予防法は、季節性の風邪やインフルエンザでも同様に活用できます。

 

感染を予防するための行動 No.2 につづく

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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