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いつ来るか分からない災害。日赤和歌山医療センターは、どんな対策をしているの? どんな概念や指針、ガイドラインで対策しているの?ちょっとマニアックな情報をお届けして いきます。赤十字の病院が行う救護について知っていただけたら幸いです。
2020/05/14
今回は、災害対応の原則「CSCATTT」の1つ目のCであるCommand and Control(コマンド アンド コントロール)についてお話しします。
普段、各医療機関は大学病院や公立病院、日赤などそれぞれ独立した組織でそれぞれの診療方針に従い、その病院の機能や特性を活かした医療を提供しています。
しかし、災害が起こった場合に、いつもどおりの医療体制で医療機関が各々独自に活動してしまうと、一部の医療機関へ傷病者が押し寄せパンクしてしまったり、特定の医療機関へ医療者(医師、看護師等)が集中したりするなど、医療供給の不均衡が発生する恐れがあります。
これでは、効率的な医療活動を行うことが難しくなり、「防ぎ得た災害死」を減らすことはできません。
実際に、阪神淡路大震災では、それぞれの医療機関が最後の砦の決意でベストを尽くそうと活動しましたが、医師が100名以上待機していた病院には350名程の傷病者しか来なかったのに対し、医師数7名の病院に1,000名を超える患者が押し寄せるなど、医療供給の不均衡が大きな問題となりました。
阪神淡路大震災での「防ぎ得た災害死」は、500名程いたと言われています。そのため、災害時には、過剰な医療需要に対応するため、全ての医療機関や医療チームが1つの組織としてまとまり、効率的な医療活動を行う必要があります。
その際、様々な情報を誰(どこ)に報告し、誰(どこ)の指示を受けて活動を行うのか?を明確にしておかなければ、大きな混乱が発生してしまいます。
これは、医療機関単位でも、チーム単位でも同様です。自分がどのような指揮命令系統で活動をしているかを常に意識しながら活動を行わなければなりません。
この各機関・チームでのリーダーを頂点とした組織の縦軸がCommand(指揮)です。
それに対して、Commandが確立できた後に、消防や警察、自衛隊などの他組織と横の連携を
行うのがControl(統制・連携)です。
消防や警察、自衛隊でも、組織ごとにCommandが確立されています。それに対して、誰を窓口として相談するのか?が重要となります。例えば、災害現場で傷病者の搬送を消防に依頼する場合には、自分と同等の範囲を統括する人に相談をしなければ、混乱を招き話がうまく進まなくなってしまいます。
それぞれの組織の縦軸の指揮命令系統ができている中で、同じ階層で調整を行い、横の連携を確立しなければなりません。この横の連携がControl(統制・連携)です。
このように、災害医療活動を行うための第一歩として、Command and Controlに基づく指揮命令系統の確立を目指すことが重要となります。
第4回は「Safety」について解説します。お楽しみに!