院内で、地域で、色々な活動をしている当センター。 あんなこと、こんなこと、ありました! やりました!!  診察などでご来院いただいているとき、入院治療されているとき、それ以外の時間にも実施したことをご報告していきます。

3日以上の断水が!?

2020/02/18

令和2年1月16日(木)、和歌山市が3日後の19日(日)午後10時から22日(水)午後10時まで3日間にわたり、漏水による水道管修理のため市内で広域に断水すると発表しました。

 

和歌山市企業局ホームページ掲載の地図を引用

 

断水が影響する地域は、和歌山市企業局ホームページ掲載の地図で赤く囲まれている部分、約3万5千戸、住民約8万人におよび、一部の小学校で給食の提供ができないため午後休校にする措置がとられたり、多くのスーパーマーケットやコンビニエンスストアで水のペットボトルが売り切れるなどの報道もあり、市民生活に直撃する事態になりました。

 

当センターでも、発表後ただちに断水地域の確認を行い、病院機能に影響がでないのか、影響の考えられる部門の洗い出し、調整する本部機能の立ち上げを行い、翌17日午前、現状把握、課題抽出、対策実行のため各部署の担当者が集合しました。

 

先ずは、該当地域の医療機関にどのくらい影響があるのか確認したところ、当センターからの転院先として協力いただいている4病院が該当すると判明しました。中でも、多量の水が必要な透析医療を実施する医療機関への影響が心配されました。しかしながら、17日時点で和歌山市から該当地域の透析実施医療施設には給水車が常駐して給水する旨の連絡があり、それぞれの病院からも通常対応可能との返答がありました。

 

 

透析治療はどんな医療なのかというと、腎臓の働きが悪くなると、血液中の不要な成分を尿として体から排出することができなくなります。働けなくなった腎臓の代わりに、血液の中から体に不要な成分を取り除く治療を透析治療、人工透析と言います。

 

該当地域の病院が通常通り透析治療できると伺っていても、高度救命救急センターを備え、地域医療支援病院である当センターとしては、いかなる時も緊急受け入れを想定しておく必要があると思っています。ですから、透析治療を行う血液浄化センターでは、県透析医会からの受け入れ可能数把握調査に協力し、職員の勤務体制や院内の連絡・応援体制を調整しました。

 

当センターの血液浄化センターは、日曜日をのぞく毎日、午前1回、午後1回の2回透析を行っています。1回につき最大25名程度の透析を行うことができますが、透析は1回3~4時間程度かかるため、当センターでは、外来通院の患者さん、入院中の患者さんともに完全予約制で行っています。今回は、通常の透析診療の後、普段は行っていない夜間に各日20名程度は受け入れるよう人員・機材などを調整しました。

 

当センターの血液浄化センター

 

次に、該当地域では、ほとんどの診療所が投薬のみになるなどの診療制限を行ったり、休診を余儀なくされる状況であることもわかりました。診療所から近くの病院への入院が受け入れてもらいにくくなったり、反対にその地域にある医療機関から患者さんの受け入れ要請が増加することも想定されました。

 

当センターでは、1998年から親交のある医師らとの連携を深めるネットワークの会を構築しています。そのため、該当地域にある当センター医療連携ネットワーク会員の先生方が在籍する330施設に、当センターの受け入れに関する通知を出して早めの状況把握を行い、可能な限りの支援に努めました

 

その一方、冬場は循環器疾患やインフルエンザなど感染症の重症化などで、例年、入院のベッドが満床近い状況が続きます。その中で、断水が2日、3日と続いた場合、該当地域からの救急受診・入院が増加すると見込まれました。また、該当地域の病院への転院や自宅・介護施設への退院が難しくなることも予想されたため、救急部門から入院患者さんが増えたままの状態が続けば、手術などで入院を予定されている患者さんに入院延期をお願いする可能性も浮上してきました。

 

当センターの病室(4人室)

 

非常に大きな課題を突きつけられましたが、看護師を統括する看護管理室、入院や退院の状況を把握する病床管理調整室、入院予定の患者さんや、患者さんの転院・退院サポートをする患者総合支援センター、地域の医療機関からの予約などを受け持つ医療連携課など院内の関係部門が連携を強化することで、通常以上に円滑な入退院を行えるよう努めました。

 

そうは言うものの病棟では、自宅に退院する場合に断水の生活不安を相談されるケースや、該当地域の医療機関への転院を不安に思われる患者さんもおられ、転院・退院調整に時間がかかった事例もありました。

 

実際のところは、20日(月)未明に漏水箇所が幹管ではなく枝管と判明し、断水に至らずに収束しました。当日夜は、災害時に運用される「わかやま救急医療情報ネット(EMIS)」の入力対応くらいで大きな混乱もありませんでした。

 

今回、市内の一部という局所かつ3日前の発表という災害時でも平常時でもない事態に直面し、各部署が連携し柔軟に対応していく重要性に改めて気づかされました。

 

2018年大阪北部地震に向かう職員たち

 

当センターは赤十字の医療施設として、国内外で災害などが発生すると、各職種の職員を収集し数時間後には派遣。派遣した職員も、派遣職員を出した職場も支援もすることを繰り返してきました。

 

ですから今回も、診療・看護を担う部署の職員、患者さんのサポートをする部門の職員、マネージメントに関係する部門の職員などが、職種・部門の壁を越え一致団結しました。その垣根の低さ、相互に異なる視点から改善を重ねる姿勢が当センターの特長のひとつだと考えています。

 

今後も、異常気象や事故などにより、このような事態になることもありえるので、各部署がそれぞれの現状や対応を確認し、病院全体で備えていきます。 

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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