海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

海外での安全管理

2019/04/20

安全管理研修の様子

 

オーストラリアのシンクタンク(インスティテュート・フォー・エコノミクス・アンド・ピース)は、内戦や政治テロ、殺人による死者数といった23の観点で、世界平和指標を毎年発表しています。

 

同シンクタンクが世界163カ国を対象に実施した2018年版世界平和指数では、1位はアイスランド、2位ニュージーランド、3位オーストリア、日本は第9位で、世界の中でも平和な国と言えます。

 

私は1989年、1991年にマレーシアのベトナム難民キャンプに派遣された後、ケニア(93年)、東ティモール(2000年)、アフガニスタン(02年、03年)、イラン(04年)で活動しましたが、紛争や災害等で国情が不安定なところもありました。

 

日本赤十字社の派遣要員に登録されるためには、多くの研修を修了しなければなりませんが、2006年以前は安全管理に特化した研修はありませんでした。

 

多くの派遣経験から、派遣先では日本と同じような安全意識ではなく、状況に応じて安全を確保しながら活動しなければならないため、早急に対策を講じる必要性があると感じていました。

 

そんな頃、国連難民高等弁務官事務所がタイ国の歩兵師団で開催した安全管理の研修に2度参加する機会を得ました。

 

その経験を基に、日本赤十字社本社との調整を経て、海外から専門家を招聘し、2007年に初めて「安全管理研修」を開催するに至りました。

 

検問所の模擬訓練

 

6日間の研修では、

① 要員個人の安全管理

② 現金・備品の管理

③ 事務所・宿舎の安全管理

④ 火災対応、移動時における安全管理

⑤ チェックポイントでの対応

⑥ 脅威の分析と予防・軽減

⑦ 安全管理プラン・不測事態対応・緊急避難計画の作成

⑧ 爆弾・地雷・不発弾の対処方法

⑨ 誘拐の回避方法

⑩ 人質に取られた場合の適応方法

⑪ 銃撃下での防御方法

⑫ 情報の収集・分析・管理

⑬ 実際の事例検証

⑭ 無線交信 など

安全に活動するために必要な内容を効果的に学習できたと思います。この研修は2010年で終了しましたが、現在では、派遣前必須研修として日赤要員が継続していくことで安全確保に貢献しています。

 

最近では、何時(いつ)でも何処(どこ)でも写真をウエブ上に投稿できますが、特に拡散力のあるSNSにアップする場合は細心の注意が必要です。

 

プライバシーや肖像権を侵害した場合、損害賠償の責任が生じたり、スパイ容疑等で身柄を拘束されたりすることさえあります。

 

一見、明確な表示がない建物であっても、治安関係施設として使用されていることもあり、注意が必要です。

 

国外で活動する場合は、国内の常識だけでなく、国際的な知識や感覚を持って活動することが大切です。

 

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

 

 

 

 

 

 

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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