日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

検診を受けて、肺がんを早期発見!

2019/03/21

近年、肺がんと診断される患者さんは増加傾向です。また、肺がんは、死亡率の高さでも、現在、一番多いため、関心も高まっています。

 

そんな肺がんを早期発見するには、どうしたら良いのでしょうか?

 

年間300件もの呼吸器外科手術を手がけている 石川将史 呼吸器外科部長に聞きました。

 

肺がんのいちばんの危険因子は年齢ですので、患者さんが増えているのは高齢化が関係しています。

 

年齢以外にも、もちろんタバコも肺がんの原因になります。タバコを吸っていると、吸っていない人に比べて3〜4倍くらい肺がんにかかりやすいといわれています。

 

肺がんにかかりたくないのであれば、まず、タバコを止めるというのが有効な手段です。

 

では、タバコを吸ったら肺がんになり、吸わなければ肺がんにならないのでしょうか?

 

実際はそれほど単純ではありません。

 

毎日タバコをたくさん吸っていても肺がんにならない人、タバコを全く吸っていないのに肺がんになる人がいます。がんというのはいろいろな要因が絡み合って起こるため、肺がんの原因がタバコだけというわけではないのです。

 

ただ、喫煙者は肺がんリスクが非常に高く、タバコを吸っていなければ、まずならないというタイプの肺がんもあります。タバコを吸われるのであれば、ご自身の健康により気をつけていただく必要があります。

 

また、タバコの煙には、発がん性物質などの有害物質が多数含まれていることが分かっていますので、周囲への配慮も必要になります。

 

肺がんを初期段階で発見するには、定期的に検査を受けるのが有効です。市町村のがん検診に入っているレントゲン検診も有効ですが、限界もあります。

 

肺がんは、CT検査による検出率が高く、私たちが診ている患者さんの半数以上は、CT検査がきっかけで肺がんが見つかっています。今は被ばく量が少ないCT検査もありますので、「低線量CT」による肺がん検査もおすすめです。

検診年齢に制限はありません。働き盛りの年代から検査を受けてもらって早期発見するのがよいですが、高齢の方にも肺がんは多いので、年齢を気にせずに受けていただきたいです。人間ドックや健康診断にCT検査をオプションとして追加されるのも一案です。

 

なぜ検査が大切かというと、肺がんで手術を受ける患者さんのほとんどが無症状だからです。せきや痰などの症状が出てしまってからでは、手術ができないほど進行している場合もあります。

患者さんの多くは、手術をするのは大変なことだと思われていますが、肺がんで手術ができるのは1期や2期という比較的早期で発見できた患者さんのため、早くに見つけられたからこそ手術ができるといえます。

 

また、手術ができれば根治の可能性がありますので、まずは手術の説明を聞いてみてください。

 

今は、肺がんの手術の多くを内視鏡で行うため傷も小さく、術後は1週間ほどで退院できます。「手術の対象です」と告げられてもあまりショックを受けず、怖がらずに手術に臨んでいただきたいと思います。

 

日頃から、職場や市町村の検診を怠らないように受けましょう。

 

 

 

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