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がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。
2018/11/13
平岡先生は京都大学医学部を卒業して放射線科医となり、2007年には京都大学医学部附属病院がんセンターの初代センター長に就任。2015年の退官まで20年以上にわたり京都大学大学院医学研究科の教授としてがん治療に関わり続けてこられてきました。
がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んでこられた平岡先生に、がんについてわかりやすく教えていただきましょう。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。
前回は検診の大切さ、検診の内容についてお伝えしました。
検診を受けるのは大変そうだなと思われたでしょうか。しかし、がんから自分を守るためには、検診しかありません。
「でも、周りは全然受けていないのに…」と思われたかもしれません。
それでも、がん細胞は体の中に生まれていきます。
それを進行させるか、早期に見つけるか。
どちらがよいと思われますか? 答えは1つですよね。
では、実際にどれくらいの人が検診を受けているのか、見ていきましょう。
まだまだ検診を受けている人は少ない
医師が「検診を受けましょう」と言っていても、国が啓発活動をしていても、まだまだ検診に自ら出向く人は少ないです。
平成25年に実施された「国民生活基礎調査」によると、日本のがん検診受診率は、4割程度。世界の国々と比べても、非常に低い数字です。
「痛そう」
「医者にかかるのが苦手」
「時間がない」
など、理由はさまざまですね。
細かくみていくと、男性の、胃がん・肺がん・大腸がん検診で4割程度。
女性の乳がん、子宮頸がん検診を含めた女性の5つのがんでは3〜4割台。
全体的に、とても低迷している状況です。
「みんなが行っていないのに、行く必要性は?」
検診率が低いのだから「じゃあ、自分も行かなくていい」わけではありません。
がんからご自身を守るための検診ですから。決めるのは自分自身です。
症状を感じてから受診すると、病気が進行している可能性があります。
また、がんだけではなく、がんになる前の状態(病変)が見つかることもあります。
未然にがんを防ぎ、健康にご自身が生きていくために大切なことです。
和歌山県は、名だたるがん大国
和歌山県のがん死亡率は全国有数。実は、全国に名だたるがん大国です。
検診率も非常に低く、平成25年の調査によると、47都道府県で順位をつけると、下から数えて胃がんは9位、大腸がんは4位、肺がんは8位、乳がんは7位、何と子宮頸がんは1位です。
この記事を読んでくださった皆さん自身が検診を受けてください。また、ご家族、親族、友人、知人、同僚、隣人の方々に声をかけて、ぜひ検診へ!
平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)
日本赤十字社和歌山医療センター名誉院長。
1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員なども務めるがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年4月から2022年3月まで当医療センター院長。2021年1月から、がんセンターで放射線治療(週1回外来診察あり)を担当。