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『終末期だけでない緩和ケア!」当医療センターで行っている早期からの緩和ケアについて、様々な職種の関わりをご紹介します。
2025/02/12
緩和ケアを知ると、入院中でも、病気を抱えながらの生活においても、痛みやつらさが和らいだ状態で過ごしていただけるはず・・・。当医療センターで行われている緩和ケアをご紹介する、こちらの連載。
今回は、当医療センターで緩和ケアを提供する体制などをご紹介していきます。
当医療センターでは、緩和ケアに携わる医師や看護師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、社会福祉士、管理栄養士らによる緩和ケアセンターが設置され、そこには緩和ケアチーム、緩和ケア内科外来、緩和ケア病棟の3部門があり、緩和ケアの果たすべき役割を分担しています。
まず1つ目、一般の病棟で活躍している緩和ケアチームを紹介します。
緩和ケアチームは、がん治療のために一般病棟入院中で苦痛症状のある患者さんを訪問し、苦痛症状の緩和について主治医や病棟スタッフとよく相談の上、医療用麻薬の処方をはじめとした苦痛症状の緩和方法を提案したり、医師の場合は、主治医と相談して処方したりします。当医療センターにがん治療で手術・入院される患者さんの、よきパートナーになれるよう取り組んでいます。
2つ目は緩和ケアの外来部門で、当医療センターには「緩和ケア内科」という診療科があります。
各診療科では、できるだけ苦痛を軽減しながら治療していくのですが、がんの進行に伴う苦痛や、患者さんの状態、治療によっては副作用(有害事象)が出てくることがあります。その際、治療にあたっている主治医から依頼があった場合、外来でより細やかな緩和ケアを提供しています。
2021年にがんセンターを開設して以来、当医療センター各診療科へのがん患者さんの紹介が増えている印象があり、さらに、医学の進歩により、抗がん剤の外来投与に代表されるように、がん治療を外来通院で行うことも増えてきています。緩和ケア内科の外来は、がんを治療する診療科と手を携えて診療しています。
最後は、緩和ケアを専門に行う病棟をご紹介します。
緩和ケア病棟は、全て個室で20床あり、談話スペースや共有のキッチン、専用の庭もあります。対象は、在宅や一般病棟では症状のコントロールが難しい患者さんで、痛みに対して医療用麻薬を処方したり、放射線治療科のご協力で痛みを和らげるための放射線治療を行うこともあります。
自宅と病院の中間のような存在を目指しています。医師の許可があれば、病棟で飲酒することも可能だったり(本人のみ)、さまざま調整をしてペットと面会された方もいます。個室内に家族との写真を飾ったり、天気の良い日に専用庭に散歩に出たりする(ベッドごとでも可能)などの気分転換も、積極的に行っています。
緩和ケア病棟での療養の結果、症状が改善し、訪問医療サービスと連携して自宅退院できる人も多いです。
がんの治療は進歩し、さまざまな方法を選択できるようになったため、治療期間も、痛みも、つらさも、不安や悩みも、段階によって変化します。当医療センターでは、がんの早期から、いかなる段階においても緩和ケアが受けられる体制を目指し、整えています。
次回、外来での緩和ケアについて、ご紹介します。
一宮 正人(いちみや まさと)
日本緩和医療学会緩和医療認定医、日本外科学会外科専門医・指導医、日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医、日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科:胆道)
好きなことは、旧車いじりとカラオケ。ミレニアム以前に流行した日本製スポーツカーをメンテして走らせたり、女性ボーカルのJ-ポップをカラオケで歌うのが好きです。