海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

赤十字が行っている保健事業を紹介します

2018/10/20

近年、世界中で自然災害の頻度が増え、被害も甚大となる傾向にあります。また、紛争により国を追われ、避難生活を続ける難民も増え続けています。

 

赤十字は、世界191ヵ国と地域に広がるネットワークを活かし、困難に直面している人々を支援するために様々な活動を展開しており、その1つに『保健事業』があります。

 

これは、緊急時の物資配布や医療班の派遣、義援金を送るような即時的な支援ではなく、その地域の人々が自分で自分の身を守ることができるように、災害による被害を最小限に留めるための備えや、病気を予防するための啓発活動を行い、地域の災害対応・回復力(レジリエンス)の強化と健康増進を目指して行っている事業です。

具体的な活動内容を紹介します。

 

① その国の各地域から、自分たちの住む地域を良くしたい!という意欲のあるボランティアを募ります。

 

② ボランティアたちに救急法、生活習慣病や感染症などの疾病予防、手洗いや水衛生についてなど、多岐にわたって教育を行います。

 

③ 教育・研修を受けたボランティアに、得た知識を彼らの暮らす各地域で広めてもらいます。

 

なぜ、このような方法を行っているのかと言うと、いきなり見知らぬ外国人がやってきて、「このままではダメだからこうした方が良い」などと啓発活動を行っても、誰も聞き入れてはくれません。

地元の文化や慣習を良く知る『近所の知人=ボランティア』から教えてもらうと、自然に受け入れられやすいということがあるからです。アジアやアフリカなど地元住民同士のつながりが強い地域では、この手法は非常に有効です。

 

時には、ボランティア自身が被災者だったり難民だったりすることがあります。ボランティア自身の生活が大変な中、地域の人々のため活動に励む姿を見ると、私たちも頑張らなければと思います。

 

今まで知らなかったことや試したことのないことを実践し、人々に行動変容を促すのですから、一朝一夕にはいきません。成果が出るまでには何十年もかかりますが、長期的な視野でより多くの方々が利益を得られることがこの保健事業を行っていく上での醍醐味と言えます。

普段は、病院で目の前の患者さんに集中して看護を行っています。しかし、ひとたび海外に赴くと、保健事業に携わって、ボランティア一人ひとりを育成することで、その一人から何百、何千人もの地域住民の健康増進に関わっているのだと思うと、また、違った使命感を感じます。

 

現地の情勢変化や、災害の復興度に伴い、地域住民のニーズも多様化していく中で、今後益々こうした保健事業が必要となっていくことは間違いありません。これからも、世界各地の保健衛生に関する活動に関わっていきたいと思っています。

 

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

 

 

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