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がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。
2018/10/16
平岡先生は京都大学医学部を卒業して放射線科医となり、2007年には京都大学医学部附属病院がんセンターの初代センター長に就任。2015年の退官まで20年以上にわたり京都大学大学院医学研究科の教授としてがん治療に関わり続けてこられてきました。
がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んでこられた平岡先生に、がんについてわかりやすく教えていただきましょう。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。
日本人の半分ががんに罹るけれども、約6割は治癒するようになったということを前回までにお伝えしました。
では、がんに罹ってしまったとき、いちばん体に負担をかけないように、さらには治療費も安く済ませるためにはどうすればよいでしょうか。
有益かつオトクな方法 「がん検診」
「なんだ、検診かぁ〜」と思わないでくださいね。
がん検診は自分の体、あるいは大事な人の体を守る、大切なことなのです。
そもそも、がんは初期の自覚症状が少ない病気です。
症状がなくても、体の中にがんがあるという早期の段階があります。
その段階で発見すれば、体への負担も非常に少なく、治療費も安く済みます。
もちろんがんの死亡率も軽減できます。
がん検診を受けなければ、早期発見は難しい
がん検診は、全国の各市区町村で実施されています。
対象となっているのは、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんという5大がんです。
各種がん検診を受けた方のうち、要精密検査となった人は約2%〜8%。そしてそのうちの1.28%〜4.05%の方からがんが発見されています(平成27年度地域保健・健康増進事業報告より)。
体の中にがんを抱えて日々を過ごしていた人が、これだけいたのです。
自覚症状のない初期段階ですから、検診でなければ発見できません。
誰でもがんに罹るリスクは持っています。
今、気になっていることがある方もいらっしゃるでしょう。
もし、症状が出たとしても、がまんしようと思っている方もいらっしゃるでしょう。
そうなれば、もっと最終的な負担が増えてきてしまいます。
ためらわずに、検診へいかれること、もしくは、かかりつけ医に相談することをオススメします。
明らかな症状が出ている場合は、体の状態に合わせた検査が必要となります。
検診ではなく、医療機関を受診してください。
検診は、怖くない
検診の方法ですが、各種がんによって内容が異なります。
○ 胃がん:質問(問診)、胃X線検査または胃内視鏡検査
○ 大腸がん:問診、便潜血検査
○ 肺がん:問診、胸部X線検査、必要に応じて喀痰細胞診
○ 乳がん:問診、マンモグラフィと視触診
○ 子宮頸がんは、問診、視診、細胞診、内診
対象となる年齢は、子宮頸がん以外は40歳以上です。子宮頸がんは、近年、若年者に増加しているので、20歳以上が対象です。
頻度ですが、大腸がん、肺がんは毎年です。
それ以外は2年に1回の検診が勧められています。
そのほか自治体が独自に取り組んでいる検診もあります。市町村によっては、がん検診の補助制度もあります。お住まいの自治体でがん検診がどのように行われているか、チェックしてみてください。
また、当センターでは健康管理センターで、肺がんドックや膵臓がん・大腸がんまでカバーしたプレミアム二日ドックなど、がんを調べる健診も行っています。
是非、この機会にがん検診を考えてみてはいかがですか?
平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)
日本赤十字社和歌山医療センター名誉院長。
1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員なども務めるがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年4月から2022年3月まで当医療センター院長。2021年1月から、がんセンターで放射線治療(週1回外来診察あり)を担当。