少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

集中できる環境?

2018/10/05

友人と立ち寄ったカフェで問題集を広げている人を見かけました。

 

「こんなうるさいところで勉強しなくてもいいのに…。冷暖房が効いているからかしら?」と友人は不思議そうでした。たしかに、周りの話し声だけでなくBGMのジャズまで流れていて、お世辞にも静かとはいえない環境です。

 

しかし、自分の部屋では読書や勉強が進まず、カフェのようなところでなら集中できるという人は珍しくありません。

 

外で読書をした経験のある人なら分かりますが、周囲の話し声や店のBGMは案外気にならないものです。これは、無意識のうちに私たちの脳が「感覚情報のゲーティング」と呼ばれる情報の取捨選択を行っているためだと言われています。

 

この取捨選択によって、自分にとって重要でない音は(聴覚的には聞こえていますが)意識的には聞こえないかのような状態になるのです。車に乗っている時に、エンジン音が気にならないのもこのためです。さらに、BGMには、周囲の会話など雑音を意識させないマスキング効果があります。トイレの流水音発生器は、その効果を利用したものです。これらの心理的効果から、BGMが流れているカフェでは意外と雑音が気になりにくいのです。

 

けれども、「初めから静かな自室の方が良いのでは?」「雑音を消すためのBGM音がうるさいのでは?」と首をかしげる人もいるでしょう。

 

実は、人は無音状態よりも適度な雑音がある環境の方が能力を発揮しやすいということがいくつかの研究で明らかになっています。その仕組みは、雑音がある状態では作業遂行がより困難になるものの、人は簡単な作業よりも解決に手間取る作業の方が集中して取り組むためだそうです。さらに別の研究では、音楽を聴くことで脳は疲労などを認識しづらくなることも報告されており、より長時間の集中学習も可能になるのかもしれません。

 

秋まっさかり。読書の秋を満喫するにも、時には本を片手に出かけてみては、いかがでしょうか?

 

(臨床心理士 坂田真穂)

 

 

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