少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

第4回 頼りにされる祖父母の実態

2018/08/03

少し前までは、バリバリ仕事を続ける女性をキャリアウーマンと呼び、特別視する傾向がありましたが、近年では働く女性は珍しい存在ではなくなり、そういった言葉で呼ばれることも少なくなりました。

 

けれども、キャリアをもちながら結婚や子育てを諦めない女性が増える一方で、待機児童問題など、働く女性の急増に国や社会が追いついていない現状もあります。その遅れを埋めている有力な助っ人が祖父母という存在のようです。送り迎えや遊び相手から食事の世話まで、親さながらの孫育てをしている人も珍しくありません。「母子手帳」ならぬ「祖父母手帳」を発行し、祖父母による孫育てを推奨する自治体もあります。

 

たしかに祖父母による支援は親の負担を軽減するだけでなく、週1日の孫の世話が認知機能の維持に役立つという報告や、孫の存在が幸福感向上に繋がるという研究もあるなど、世話をする側にもメリットはあるようです。

 

しかし、元気な孫に体力がついていかず、心身ともに疲れ果てる「孫疲れ」は既に深刻な社会現象となっています。さらに、孫の世話のし過ぎによって、高齢者が自立した老後を送れなくなる危険性もあります。

 

60代は本来、子育てや仕事から解放され、自分のために時間やお金を遣える時期です。健康度が高い人も多く、昔の趣味を再開したり、友達づきあいなどを通して人間関係も充実させやすいでしょう。

 

しかし、この時期に孫育てに奔走し、老後の生活の基盤を作れないと、孫育てが終わった70代では、趣味や交友関係に精を出す体力が残っていないということになりかねません。かといって、思春期になった孫や働き盛りの子どもたちが顧みてくれるとは限りませんから、高齢者の引きこもりに繋がってしまうのです。

 

いつまでも頼りになる存在でいたいと願う気持ちは、歳をとっても変わらないものです。また、働く子育て世代にとっても、親の助けはありがたいものです。けれども、老親の自立や充実した老後を考えると、祖父母への孫育て依頼は、ほどほどが良さそうですね。

 

(臨床心理士:坂田真穂)

 

 

 

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