筋力をアップしたい、肩や腰の痛みを軽減したい、身体の柔軟性を保ちたい・・・運動機能を維持・向上させ、いつまでも健康な身体でいられる運動やコツをご紹介します。

「家事」という「運動」

2022/10/18

新型コロナウイルス感染症が流行し、「ステイホーム」という言葉をよく耳にするようになりました。皆さんは、おうち時間をどのように過ごされていますか?

 

なかなか外出する機会もなく、運動不足を実感している人も多いのではないでしょうか?

 

 

今回は、「家事」に運動効果がどのくらいあるのか、ご紹介します。

 

さて、運動の効果を数値化する単位として、まずは「カロリー」を思いつく人も多いと思います。実は、同じ運動をした場合でも消費カロリーは、その方の体重によって異なります。消費カロリーを求める計算式は、下のとおりです。

 

METs×体重(kg)×時間(分)×1.05=消費カロリー(kcal)

 

見慣れないかもしれませんが、METs(メッツ)という単位が出てきました。これは、安静に座っている状態を1METとして、様々な活動がその何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度です。つまり、このMETs(メッツ)という単位が大きいほど、消費カロリーも大きくなります。

 

一般的に、散歩(ウォーキング)程度の歩行が3METsと言われています。

それでは、家事は一体どれぐらいの運動になっているのでしょうか。みていきましょう。

 

① 料理

料理を作って、食べ終えるまでの順番でみていきましょう。

 

まず、調理をはじめる前に食材の準備をします。

野菜室から野菜を取り出したり、米びつからお米を出したり。この用意の作業だけでも2.5METsになります。

 

そして、次は調理に入ります。

立ったまま食材を洗ったり、切ったり、煮炊きしたり、炒めたりすると、2.0METsになります。

 

料理ができて、運んだり、食器を用意したりすると、3.0METsです。

最後に、お皿を洗った場合は2.5METsです。

 

 

料理は時間がかかる家事なので、台所とダイニングという限られた空間の移動でも、ちょっとした運動よりも消費カロリーが増える場合も多いです。

 

② 洗濯

洗濯物を洗濯機から出すところから、運動量が大きくなります。

洗い終えた洗濯物を干す作業は2.4METsです。

 

そして、乾いた洗濯物を取り込み、畳んで、片づける作業で2.3METs。

アイロンをかければ、更に2.3METsが追加になります。

 

毛布などの重いものや、洗濯物の量が多い場合は、更に運動負荷があがり、METsが大きくなります。

 

 

③ 掃除

掃除は、家事の中でも、特に強い運動になります。

運動負荷が弱い順番に紹介しましょう。

 

まず、最も軽いのがゴミ捨てで、2.5METsになります。

続いては、洗車と窓ふきですが、これらは3.0METsとウォーキングと同程度です。

 

掃除機がけは3.5METs、風呂・浴室掃除は3.8METsです。

 

これらより強いのが庭掃除で4.0METs、更に床掃除は運動負荷が強く、なんと5.3METsとなっています。

 

1日中、掃除をした場合、1日中ウォーキングするよりも運動しているということになります。

 

 

普段、意識することなく行っている家事も運動になっています。

もちろん、家事をする時間が長いほど消費カロリーは増えますし、頻度が多いほど運動不足の解消につながります。

 

おうち時間が伸びて、運動不足が気になる人は、「家事」という運動を増やしてみませんか? 

 

 

文・・・日本赤十字社和歌山医療センター リハビリテーション科部

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