がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

がん標準治療② 安全な治療を保険診療で受けられる

2021/09/21

インターネット上で「がんに著効」などと華々しくアピールする民間療法が目に留まることも少なくないでしょう。

 

しかし、ホームページなどで目を引く広告を行っている民間療法は、有効性、安全性、いずれも公に証明されていないことを理解しておく必要があります。

 

 

全員が安全な医療を保険診療で受けられる

民間療法が、なぜ有効性、安全性ともに証明されていないか断言できるかというと、「国民皆保険制度」があるからです。

 

 

日本は医療保健制度が大変整った国であり、すべての国民が公的保険に参加できます。いわゆる国民皆保険制度が実現できている世界でも稀有な国です。

 

この制度により、国民は誰でも、全国の医療機関で有効性・安全性が証明された医療を健康保険で受けることができます。

 

科学的根拠(エビデンス)に基づいた観点で有効性、安全性が証明された医療が、すべて保険診療で、すべての国民が享受できる状態。つまりそれは、保険診療で認められていない有効で安全ながん治療は、存在しないと言えます。

 

では、新しい治療法は・・・? 標準治療って、不変なの?と疑問に思われる方もいるでしょう。

 

 

「標準治療」も進化している

標準治療は、医学・医療の進歩とともに、進化しています。

 

例えば以前、手術は胸や腹部を大きく切り開いて行う開胸手術や開腹手術が標準治療でした。

 

今は、胸腔鏡や腹腔鏡など、いわゆる「内視鏡」を使う鏡視下手術が多くのがんで行われるようになりました。臨床試験で、患者さんへの侵襲(身体への負担)が少なく、手術後の回復が早く、術後の入院期間が短くなるなどの利点が明らかになり、安全性も問題ないことがわかったからです。その科学的根拠の基づき、多くのがんで、鏡視下手術が標準治療として認められました。

 

同様なことは放射線治療についても言えます。

 

強度変調放射線治療(IMRT)できる放射線治療機器

 

早期肺がんあるいは肝がんに対して、定位放射線治療(ピンポイント照射)が標準医療に仲間入りしています。また、前立腺がん、頭頚部がんに対しても、強度変調放射線治療が従来の放射線治療に比べて、生存率、安全性どちらも上回ることが明らかにされ、それらの先端的な放射線治療が標準治療となりました。

 

薬物療法は、その入れ替わりが最も急激です。進化を遂げ、治療が確立されてきました。

 

 

優劣ではなく、総合的に治療を選択する

がん治療は、標準治療でも利点と欠点があります。ただ、どれかが優れ、どれかが劣っているということはありません。それぞれの特徴を活かしながら、患者さんとがんの状態を総合的に見極めて、最適な方法を1つ、あるいは複数を組み合わせて選択します。

 

 

2021年1月に当センター内に設立したがんセンターでは、各臓器がん別に14のユニットを創設し、手術、放射線治療、薬物療法、内視鏡治療といった専門医が情報を共有し、それぞれの患者さんに最適な治療を検討し、治療方針を決定していきます。そして、患者さんの意向に合った標準治療を提供しています。

 

どれも安全な治療であり、かつ最適な方法を選択していますので、安心してがんの標準治療を受けていただきたいと思います。

 

 

平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)

日本赤十字社和歌山医療センター院長

1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員などを歴任したがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年から現職。

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