日赤和歌山医療センターの医師が健康や病気についての情報をお届けするコーナーです。専門医がさまざまなテーマを解説します。みなさんの健康保持にお役立ていただければ幸いです。

「日赤の画像診断」 No.2 放射線診断科医インタビュー

2021/05/10

日赤和歌山医療センターには、放射線の診断専門医が8人在籍しています。

 

CTやMRIは新しい技術を日々取り入れながら、正確で有用なレポート(画像診断報告書)の作成と画像を利用した治療を行っています。

 

また、医療連携ネットワーク会員の先生方であれば、どなたでも当医療センターのCTやMRIの検査を利用できる「オンライン画像検査予約サービス」も行っています。ご自身のクリニック内で行っているかのような感覚でご利用いただけると好評いただいています。

 

前回は、梅岡成章放射線診断科部長に、当医療センターでの画像診断について、日々の取り組みについて伺いました。今回は、救急での役割、多くの患者さんが気にされる被曝などを聞いていきます。

 

 

救急で来られて検査した患者さんにも、画像診断の結果はきちんと伝わるのですか?

 

救急で来られて入院にならなくても、滞在時間が短かったり夜間であったりしたとしても、必ず私たち放射線診断科医が撮影画像をチェックします。帰ってしまわれた患者さんに対して後から気になる所見が出た場合は、症状がないかなど確認の電話をします。そして、改めて受診してもらうこともあります。

 

 

 

救急で来られて「お腹が痛い」といっても、考えられる原因は非常に多いですよね。盲腸、子宮外妊娠、尿管結石などいろいろな病気が思い当たるはずです。救急の先生に短い時間で全てを網羅した治療してほしいというのは難しい話だと思いますので、広い領域に知識がある私たちが診断することで救急患者さんの初期診療もスムーズになると考えています。

 

 

少し話は変わりますが、放射線は怖いものと考える患者さんもいらっしゃると思います。もし、患者さんに直接説明する機会があったとしたら、どのように説明されますか?

 

まず、MRI装置からは一切被曝することがありません。検査を何回受けても体に影響はありません。体の中にボルトなど金属があるといった制限がなければ、何も心配はしなくてよいでしょう。

 

当医療センターのMRI(3テスラ)

 

CTやレントゲンなどは、ある程度の放射線被曝が存在しますからリスクがゼロとは言えません。しかし、その度合いはかなり低いです。毎月1回検査をしたとしても、体に影響するような被曝はありません。それに医療機器はどんどん進歩していて、放射線量を押さえても高画質の画像が撮れるようになってきています。

 

万が一の場合に備え、当医療センターでは被曝管理システムを導入していて、患者さんごとに被曝の量を管理しています。被曝線量の限界に近づいたらストップが入る仕組みです。検査で問題になるほど被曝することがないのが前提ですが、より一層、安全性を高めるためにモニタリングしています。安心して検査を受けていただきたいと思います。

 

検査装置は新しいほうがよさそうですね。装置の新しさはどうでしょうか?

 

可能な限り患者さんに負担なく、そして、臨床診断に貢献できるよう装置が刷新されています。4D撮影ができるCTを設置したり、MRIは常に新しい撮影法を取り入れたりと、高度な専門性を追求できるようにしています。

 

当医療センターのCT(320列)

 

 

他にされている取り組みはありますか?

 

当医療センターの医療連携ネットワーク会員となられている地域の先生であれば、24時間いつでもオンラインでCT、MRI、骨密度の検査を予約できるシステムがあります。先生方ご自身の診察室のパソコンから予約が取れるので、まるでご自身のクリニックに検査装置があるように活用いただいています。画像データは郵送していますが、放射線診断専門医による検査所見は検査当日にパソコンでご確認いただけるので、検査後の診察もスピーディーに受けられるはずです。

 

 

ネットワーク会員の先生でなくても、直接、当医療センターに問い合わせいただいて、FAXで検査を依頼いただくこともあります。患者さんが「日赤和歌山でMRIやCT、骨密度の検査を受けたい」と思ったら、かかりつけ医の先生に相談してみてください。

 

2回にわたって、放射線診断医の役割や日々の取り組みについて紹介しました。最後まで、お読みいただきありがとうございました。

 

梅岡 成章(うめおか しげあき)

日本医学放射線学会放射線診断専門医、日本医学放射線学会研修指導者。

医学博士。京都大学医学部臨床教授。

好きな戦国武将…武田信繁。主役をしっかりと支える名脇役でありたいものです。

 

「日赤の画像診断」 No.1 放射線診断科医インタビュー (2021.04.26公開)

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