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海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。
2021/03/20
今回、日赤情報局Hot「和歌山から世界へ」を担当する私(感染症内科部副部長の小林)は、2020年9月中旬より、世界保健機関(WHO)の短期派遣専門家として新型コロナウイルス感染症対策のため、パプアニューギニア(以下、PNG)で約2ヶ月間活動しました。
ただ、PNG入国後、最初の2週間は検疫隔離のため、指定されたホテルで滞在しました。
新型コロナウイルス感染症への対応力を高めるため、WHOは、PNG保健省、現地医療機関や他の国際機関と協力して様々な活動を行ってきました。
私は診療・感染対策チームに所属し、医療機関における診療や感染対策向上のためのサポートを行いました。
主な活動内容は、
① 医療機関の酸素供給に関する実地調査
② 病院やクリニックで感染対策の指導
➂ 新型コロナウイルス感染症の診療ガイドラインの見直し
④ 医療従事者向け研修会の講師
でした。
新型コロナウイルス感染症は、肺炎を引き起こし、状態が悪化すると酸素投与が必要になります。
新型ウイルス感染症の流行を受けて、PNGはこれまでに多くの国や団体から人工呼吸器の提供を受けましたが、人工呼吸器の使用に必要な医療酸素が確保できているかどうかを確かめる必要がありました。
そこでいくつかの病院を訪問し、酸素の需要や供給量を調査しました。その結果、訪問した病院のほとんどで酸素供給は不十分で、手術などの日常診療に影響が出ていることがわかりました。
日本では、すべての病院に医療酸素が供給されていますが、世界にはPNGのように医療のインフラが十分に整備されていない国や地域も多くあります。
このような地域で人工呼吸器のような高度な医療機器を取り扱うには、酸素供給の他にもスタッフの教育やメンテナンス、物品の補充など解決すべき課題が沢山あります。
PNGでは、新型コロナウイルス感染症を契機に、人工呼吸器の提供以外にも短期間に多くの支援が入りました。今後は、中長期的な支援をどのように行っていくのが一番良いかということを、PNG保健省とWHOなどの国際機関が一緒になってよく考えていかねばなりません。
最後に、今回、PNGでの活動を通じて新型コロナウイルスの感染症対策や、医療の質の向上に貢献することができて大変良かったと思います。
一方、地元和歌山では、新型コロナウイルス感染症の流行はまだ収束していません。
引き続き、患者さんの診療や感染管理、感染対策・予防の啓発に取り組んでいきたいと思います。
日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部
「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!