海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

2020年を振り返って

2021/01/16

コロナ禍と国際救援

言わずもがな、2020年はコロナ禍一色の年でした。

 

当医療センター国際医療救援部の新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)対応の始まりは、集団感染が起こったクルーズ船への職員派遣でした。

 

乗客乗員3,711人には、多くの外国人が含まれていて、英語での対応も必要であったため、普段は海の向こうで活動する国際救援要員が、今回は横浜に停泊するクルーズ船上で救護班の一員として活動しました。

 

国内救護と国際救援の垣根を越えた柔軟な人材活用を示す一例でもありました。

 

 

COVID-19の世界的な蔓延により、人の移動が大きく制限されたため、日本赤十字社も国際救援活動への派遣要員の一時帰国や新規の派遣を見送る措置をとりました。

 

COVID-19は、その感染力などから、単なる病気を超えた「健康上の緊急事態(Health emergency)」という人道危機をもたらしています。

 

COVID-19による危機の中にあっても、台風、干ばつ、洪水といった自然災害は絶えず起こっている上に、避難民問題や医療の脆弱性などを抱える国々では、このCOVID-19感染拡大は、人々の健康や命に、特に、深刻な影響を与えています。

 

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)と赤十字国際委員会(ICRC)は、この世界的な危機下でも、感染症対策や武力紛争、暴力行為に対応する活動への支援は、継続することを表明しています。また、各国赤十字・赤新月社(以下、各国赤)は、それぞれの国の保健当局と共同で、自国の状況に沿った活動をさらに展開できるよう強化しています。

 

2020年10月に発生した巨大台風の被害者に、生活必需品を配付するボランティア(フィリピン赤十字社)
2020年10月に発生した巨大台風の被害者に、COVID-19感染拡大防止を呼びかけるボランティア(フィリピン赤十字社)

 

国をまたいだ救援活動が困難な今、各国赤では、それぞれの地域に住む赤十字ボランティアを中心として、感染の予防啓発や拡大防止のための活動などを行っています。

 

また、例えば、携帯電話のテキストメッセージを用いて、ボランティアとスタッフがリアルタイムで報告とモニタリングなどを共有できるシステムを活用したり、研修やこころのケアなどをオンラインで実施したりするなど、国際赤十字(※注)全体として、テクノロジーやデジタルデバイスを駆使しながら、これまでとは違った形でこの危機に対応しています。

 

首都ダッカのスラムにて、生活状況調査を行うバングラデシュ赤新月社ボランティア。この調査事業は、ドイツ赤十字社の支援による。
無料の相談電話で、COVID-19の情報を提供したり、こころのケアにあたるベルラーシ赤十字ボランティア

 

当医療センターでも、院内勉強会をオンラインで開催しています。

オンラインで開催することで、参加者が費やす移動の時間やコストが大幅に軽減され、より多くの人に専門的な知識を提供し、経験を共有できる機会が増えました。

 

災害医療救援センター主催のCOVID-19セミナー

 

「ニューノーマル」の時代へ

2017年7月7日に国連で採択された核兵器禁止条約が、2020年10月25日に50カ国目の国が批准したことにより、本年2021年1月22日に発効されます。

 

国際赤十字(※注)、そして日本赤十字社が一貫して訴えてきた核兵器の廃絶に向けた活動が、新たな一章を迎えます。一方で、この発効自体はゴールではなく、これからも、経験の継承や議論の継続などの粘り強い努力が必要です。

 

COVID-19の影響により、世界は「ニューノーマル」「新しい様式」へと変化してきました。未だ出口の見えないその最中で、日本赤十字社は、日本からオンラインツールを用い、遠隔で技術指導などを行う新たな支援形態「リモート派遣」を導入し、国際救援事業を継続していきます。

 

当医療センター国際医療救援部および災害医療救援センターも、日本赤十字社の一員として、我々に求められるニーズにしっかりと向き合い、創意工夫を行いながら、国内外の人々や地域に寄り添う存在であり続けたいと考えます。

 

 

(※注) 国際赤十字・・・ICRC、IFRC、各国赤の、3機関の総称。

 

   日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部   

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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