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少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。
2020/10/02
皆さんは、どのような場面で緊張しやすいですか?
重要なプレゼンでしょうか?
怖い先輩に話しかけられた時でしょうか?
あるいは、好きな異性と一緒にいる時でしょうか?
いずれの場面にせよ、大事な時に限って緊張しすぎて、自分らしいパフォーマンスができなければ本当に嫌になってしまいますよね。
緊張というのは、「これがうまくできるかどうかで自分の今後が決まるかもしれない」と感じる時に生じます。つまり、「自分をよく見せたい」という気持ちと密接に関わっているのです。
このような時、私たちは評価してほしい、好印象を与えたいあまりに「失敗しては絶対にダメだ」と自分に完璧をもとめるようになります。そうして、完璧にできなければ苦い体験となり、次には挑戦する前から失敗(実際は、完璧にできないだけのこと)を恐れ、緊張するようになるのです。
そのため、あがり症を治すには、実際の自分よりうんと良くみせようとしないことが大切です。
欲張らず、「ほんの少しだけ、良く見せられれば」よいとしましょう。
完璧にできなかったからといって、「失敗」だとは限りません。また、「これがうまくできるかどうかで自分の今後が決まるかもしれない」とあなたが信じていることは、大抵は、本当に取り返しのつかないことや二度とないチャンスではないものです。
また、緊張しているからこそ、あえて大きな声で話すよう心がけたり、緊張していることを口に出してみることで少し気持ちがほぐれると言う人もいます。
私は人前で話す時などは、相手は自分の話を聴こうとしてくれている人たちであることを思い出し、いわば友人のような存在だと感じることで、落ち着いた心持ちになれます。
緊張のほぐし方は人それぞれです。
日ごろから自分の心の扱い方を見つけておけると良いですね。
坂田 真穂(さかた まほ)
日本赤十字社和歌山医療センター公認心理師(非常勤)、2005年より職員のメンタルヘルス支援を担当。臨床心理士、シニア産業カウンセラー。
相愛大学准教授、専門は臨床心理学。教育学博士。主な著書に『いのちを巡る臨床―生と死のあわいにいきる臨床の叡智』(創元社, 2018)など。