いつ来るか分からない災害。日赤和歌山医療センターは、どんな対策をしているの? どんな概念や指針、ガイドラインで対策しているの?ちょっとマニアックな情報をお届けして いきます。赤十字の病院が行う救護について知っていただけたら幸いです。

CSCATTT ~Communication その2 「災害時の通信手段① 衛星電話とは?」~

2020/08/13

今回は、CSCATTTの2つ目のCであるCommunication(情報収集、伝達)の2回目です。

 

災害医療でのCommunicationの重要性は前回お話ししたとおりですが、今回は「災害時の通信手段」についてお話したいと思います。

 

現在の日本では、テレビや新聞はもちろん、インターネットやスマートフォンの普及により、いろいろな情報を簡単に手に入れることができます。

 

しかし、ひとたび地震などの災害が発生すると、停電や通信インフラの破壊により、日常的に使用している通信ツールが使用できない、もしくは制限されることになります。

 

これは、病院などの医療施設や救護活動を行う医療チームも同様です。

 

被災地で、病院や医療チームが通信を行うことができないと情報収集や発信ができず、孤立してしまいます。これでは、効果的な活動を行えないだけでなく、危険情報も入手できなくなり、病院や医療チームが危険にさらされるという状況に陥ってしまいます。

 

そうならないためにも、災害に強い複数の通信手段を事前に準備しておくことが非常に重要です。

 

現在、当センターでは非常通信手段を複数整備し、災害に備えています。

今回は、その中でも「衛星電話」について、ご紹介したいと思います。

 

 

まず、衛星電話についてですが、現在の災害医療においては、もっともスタンダードな通信ツールとなります。災害拠点病院やDMAT、日赤救護班にもほぼ整備されています。

 

衛星電話は、その名のとおり人工衛星を介することで、通信インフラの被害の影響を受けずに通信を行うことができます。特徴としては、広域性と秘匿性にすぐれており、一般の固定電話や携帯電話との通信が可能であるほか、インターネット接続も可能であることや、小型で可搬性が高く内蔵バッテリーで使用可能であることなども利点として挙げられます。

 

災害医療を行う上で、情報収集や発信の重要性は前回お話ししましたが、そのためのツールに「EMIS(イーミス)」と呼ばれるものがあります。

 

 

EMISとは、広域災害救急医療情報システム(Emergency Medical Information System)と呼ばれるもので、災害時の医療情報をインターネット上で共有し、被災地での医療情報を集約して提供するシステムのことです(詳細は別の機会でお話しします)。

 

災害医療においてEMISは、もはや無くてはならないものとなっており、EMIS活用にはインターネット環境が必須です。つまり、インターネット接続が可能な衛星電話は、災害時の通信手段としては、非常に有用なものであるといえます。

 

一方で、人工衛星を介しての通信となるため、衛星をキャッチできる設置場所(南向き)を確保する必要があること(屋外設置用アンテナ、南向きの窓などが無ければ屋内では使用不可)、相手先の通信に障害があれば繋がらないこと、データ通信速度が低速なこと、通信費が高額になるなどがデメリットとして挙げられます。

 

 

現在、日本で利用できる衛星電話サービスには幾つかあります。

 

には、日本国内及び周辺海域での通話が可能で、一般的な固定・携帯電話と同様の使用方法で比較的容易に利用できる機種の他、ほぼ全世界で通信が可能なため、国際電話の契約が必要となるものもあります。

 

このように、同じ衛星電話でも発信・受信方法が異なるため、相手先の機種、連絡先を把握したうえで、通信を行う必要があります。

 

 

近年、高速通信が可能な衛星電話も開発され、どんどん進化しています。しかしながら、機材があっても使用方法や使用できる場所がなければ、有効に活用ができません。

 

機材、それを使用できる人材、使用可能な場所があって初めて、衛星電話での通信が可能となります。

 

そのため、設置場所の確保や通信訓練を定期的に行い、人材育成を行うなどの事前準備がとても大切です。

 

≪災害医療救援センター≫

 

次回は、「CSCATTT~Communication その2 「災害時の通信手段② ~無線とは?~」

 

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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