少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

過ぎたるは・・・

2019/10/04

 

久しぶりに会った友人のカバンが素敵なので見せてもらったら、見た感じより重くて、「毎日、こんな重い鞄を持ってるの?」と、驚きました。

 

鞄の中を見せてもらうと、財布や鍵、携帯電話などの必需品に加えて、水筒、折り畳み傘、化粧品、医薬品、筆記用具にハサミ・のり、文庫本やたくさんのポイントカード、いくつもの紙ファイルとUSBなど、その日使うかどうか分からないものまでギッシリ入っていました。

 

「もしも、この書類が必要だったら…」「もしも、雨が降ったら…」と思ってしまうのだそうです。このように、「もしも」を考える心配性は、日本人が一番多いといわれています。

 

心配性の人は気苦労が絶えないだけでなく、胃潰瘍や睡眠障害になりやすいという研究や、心臓病にかかりやすいという研究もあるなど、なんだか損ばかりしているような気がします。

 

けれども近年、カナダのアレクサンダー・ペニー博士らによって、そうした心配性の人には読み書きが得意な人が多いことがわかりました。

 

その言語能力の高さゆえに、理屈では推し量れないものについても深く考え、綿密なシミュレーションを行おうとするための無駄な骨折りも増える傾向があるというのです。

 

しかし、時には、本人だけでなく周囲も、心配性の人のお陰で助かることがあります。例えば、外出先でのケガや靴擦れに、彼らが持っていた絆創膏が役立ったということもあるでしょう。

 

とは言え、心配性があまりにも酷い場合には、心配事の対策や、やるべきことを紙に書きだしてみることが、『過剰な心配』のコントロールに役立ちます。

 

アメリカのコーネル大学が行った調査で70歳以上の人に「人生で最も後悔していることは?」と尋ねたところ、「無駄に心配し過ぎたこと」と答えた人が多かったそうですよ。

 

 

 

坂田 真穂(さかた まほ)

日本赤十字社和歌山医療センター公認心理師(非常勤)、2005年より職員のメンタルヘルス支援を担当。臨床心理士、シニア産業カウンセラー

相愛大学准教授、専門は臨床心理学。教育学博士。主な著書に『いのちを巡る臨床―生と死のあわいにいきる臨床の叡智』(創元社, 2018)など。

日赤和歌山医療センターHP

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