少し知っておくと役に立つかもしれない、こころに関するおはなしです。目に見えないものであるけれど、わたしたちの心は日々ゆらぎ、動いています。そんなときに思い出してもらえたら、ちょっと楽になるかもしれない内容をお届けします。

第5回 散歩の効果

2018/09/07

 

散歩、つまり歩くためだけの外出を皆さんはしていますか?

 

ある調査によると、日常的に散歩をする人は半数にも満たないそうです。犬を散歩させている人や、健康を維持するために歩いている高齢者は見かけますが、現役世代にとっては、仕事や家事で忙しい中、ただ歩くための時間を捻出するのは難しいのかもしれません。

 

若い頃の私は、散歩と聞いても「歩くだけって何が楽しいの?」と、ピンときませんでした。けれども、引っ越しや子育てを機に散歩をすることが増えました。気の向くままに歩いていると、珍しい花が咲いていたり、猫の縄張りを知ったり、家の近くでも意外な発見があります。また、歩くことは気分転換になる一方で(一見それとは真逆の効果なのですが)考え事にも集中できると気づきました。

 

そんな矢先、歩いている時は座っている時よりも60%も創造的思考が高まるという研究結果が発表されました。このことを裏付けるように、実際、企業家には散歩好きが多く、Apple社のスティーブ・ジョブスが歩いてアイデアを出すことや、Facebookのマーク・ザッカーバーグがミーティング中も座らないことは有名です。また、彼らだけでなく、今や米国のシリコンバレーなどでは歩きながらミーティングを行うことがトレンドになっています。

 

また、自然豊かな場所での散歩は、くよくよと思い悩む「病的反芻」を減少させることや、うつ傾向を軽減させることがMRIを用いた脳の研究で明らかになっています。歩くことは、脳の活性化だけでなく、こころの健康にも良い効果をもたらすのです。

 

昔に比べて、私たちは屋内で机に座り、パソコンやスマホ画面を見て過ごす時間が増えました。仕事や勉強で行き詰った時、家事や育児、介護に追われ余裕が感じられない時こそ、実る稲穂を眺めながら、波が打ち寄せる音を楽しみながら、あちこち散策してみませんか?

 

(臨床心理士 坂田真穂)

 

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