海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

国際救援活動と私(看護師の場合)

2018/07/21

赤十字の国際救援に興味を持ち始めたのは、県外の看護学校を卒業後、当センター看護師になってちょうど約7年が経った頃でした。その頃は病棟から救急外来に異動しており、将来のキャリアプランについて、直属の上司にあたる看護師長との面接で「あなたの将来のビジョンは何?」と聞かれたのがきっかけです。当時の私は、看護のケア以外に何か得意とするものを持ちたいと思い英語の勉強を始めていました。それを知った師長から「ほな、国際救援をやってみるのは?」と言われ、そんなスケールの大きなことが私にできるのだろうか?と思いながら、国際医療救援部のドアをノックしました。

 

それから長い年月が立ちましたが、必死で英語の勉強をしながら、たくさんの研修を受けました。同時に、素敵な同じ目標を持った仲間ともたくさん出会えました。看護職であれば、配属先の外来や病棟での通常業務にプラスして、国際救援に足を踏み入れているので、パワフルで熱い気持ちを持った同僚が多く、いつもエネルギーを与えてくれます。

 

そんな仲間との出会いを繰り返しながら、初めて「災害救護」に携わったのは、2011年の東日本大震災での石巻赤十字病院(宮城県)への支援です。国内で発生したこの大きな災害で深い悲しみと苦しみを経験した方々の力になれるのかと思うと、自分が看護師という道を選んだことを本当に良かったと心の底から感じました。また、その後も2016年の熊本地震災害において、熊本赤十字病院(熊本県)への病院支援としても派遣されました。

フィリピンの仮設診療所で患者さんに薬を手渡しているところ

 

この気持ちは、国が変わっても同じでした。2013年にフィリピンを襲った台風被害でセブ島の北部へ緊急救援の医療班一員として初派遣を経験しました。被災された人々は自分たちの住居が飛ばされ、壊滅状態となったところに赤十字が助けてくれたと涙を流しながら喜んでくれました。

ネパールの仮設診療所で前腕骨折の少年にギブス固定しているところ

 

続いて、2015年にはネパールでの地震救援に派遣され、直近では2017年にバングラデシュ南部へも派遣。そこは、2018年5月31日付の国連難民高等弁務官事務所の発表によると、ミャンマーから推定72万人の避難民が流入している大きな避難民キャンプで医療班の看護師長として活動しました。

 

災害は、人命はもちろん、家屋なども破壊し、爪痕を残します。命が助かった人達は、心に大きくな深い傷を負います。それでも、生きていかなければならなくて、前を向かなければならなくて、生活していかなくてはいけません。そんな時、やはり助けることができるのは、人間です。それも、きちんと災害と医療について専門的に学びトレーニングされた人材が必要です。

 

「苦しんでいる人を助けたい」という赤十字の想いを胸に抱きつつ、今後もさらなる能力向上を目指し、学び続けたいと考えています。

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

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