海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

レバノンの現状と医療支援の継続

2021/11/20

8月末から9月下旬にかけて約1ヵ月、パレスチナ赤新月社と日本赤十字社が提携して、現地の医療を支援する事業に派遣され、レバノンで活動してきたので報告します。

 

日本赤十字社は、2018年4月から、レバノン国内でパレスチナ赤新月社が運営する5つの病院を対象に、医療サービスの質の向上を図る支援を行っています。

 

ベイルート爆発事故の現場。日本人だと分かると、しばしば「広島(にある原爆ドームと似ている)みたいに見えるだろう?」と尋ねられた。

 

 

今回の派遣は、

 

① レバノン国内の5つの病院で、当初の目標に対してどのくらい医療サービスの質が向上したのか、その成果を評価すること。

 

② ①の評価をふまえて、2022年からの第2期支援計画(3年間)を策定するために、現地のニーズや課題を整理すること。

 

この2点を確認するため、パレスチナ赤新月社病院の全てを訪問し、それぞれの病院で院長をはじめ多くの医師から聞き取りをしたり、病院内を見てまわったり、現地の診療環境を体感してきました。

 

日本赤十字社が資材協力したエコーを用いた技術指導の様子(筆者:右から2番目)

 

その結果、①2018年から2021年9月現在まで日赤が支援した医療技術は、ER(救急医療の外来部門)での診療を中心に活用されていました。エコー(超音波)検査装置の導入時期に遅れなどがあったものの、2020年のベイルート爆発事故では、爆発現場に派遣された治療チームも、現場から搬送された患者さんを受け入れたチームも、日赤が支援している病院が担っていて、外傷診療や多数傷病者への対応については、その効果を実感しました。

 

② 今後の支援については、ERへの支援の他、腹腔鏡やコロナ対応などの体制整備ニーズもあると分かりました。

 

パレスチナ赤新月社は、一番若い外科医が50歳という現状があり、専門医も不足しているため、人材育成にも協力していく必要があると考えます。

 

コロナ専用病棟で感染管理の状況を確認している様子(筆者:左端)

 

帰国後は、オンラインでの支援や調査を継続しながら、支援内容の調整、支援計画の策定を進めています。

 

日本赤十字社は、コロナ禍などの世界的な状況変化の中でも、「苦しんでいる人を救う」という人道的支援、医療救援を継続していきます。

 

 

日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

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