病院では医師、看護師、助産師、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、診療放射線技師、臨床工学技士などいろいろな専門職が集まり、日々の治療を支えています。患者さんの身体も心もケアできるようにと、日々努めている仲間たちを紹介します。

臨床検査技師インタビュー ~他県から和歌山へ~

2019/08/26

広島県出身で、岡山県の学校で臨床検査技師の資格を取得した浅長麻莉子さん。キャリアスタートの時点では病院ではなく検体検査を専門に行う機関で働いていた浅長さんですが、縁あって和歌山へ移住。地域の回復期病院からスキルアップできる場所を求めて日赤和歌山医療センターへ。2014年に入職し、気がつけば5年のキャリアを重ねています。

 

「臨床検査技師は天職だと思ってます!」と、素敵な笑顔でインタビューに応じてくれました。仕事の内容や、現場のお話を聞きました。

 

 

なぜ日赤和歌山医療センターへの就職を希望したのですか?

三次救急医療を行っている大きな病院で働きたくて、志望しました。

中堅の病院や検体専門の検査機関は、どうしても仕事がルーティーンになります。自分自身の経験も増えづらいですし、認定資格を取ったり、勉強したりというスキルアップもできないと感じていたので、こちらを選びました。

 

中途採用ですが、就職試験は何人くらいで受けましたか?

私の場合は、筆記試験のときに新卒らしき人が5人くらい、長くパートで働いていて職員登用を目指していた人が1人いる状況でした。別の試験日で受けた人たちもいて、その中かから3人が合格しました。

 

実は記念受験のつもりで受けていたので、受かってびっくりしました(笑)。新卒が有利なのでは…と勝手に思い込んでいたところがあって。自分は年齢を重ねているから、合格するのは無理だろうと諦めていました。でも、スキルアップしたいという気持ちは収まらないので、とりあえず試験を受けないと始まらないと思い、思い切りました。受けてみて本当によかったです。合格を聞いたときは「やったー!!」という気持ちでした。

 

 

入職してみて、実際にスキルアップはできていますか?

今は生理検査室にいるのですが、検査の種類が多く、他の病院ではできない経験をさせていただいています。最初は覚えることが多くて、当直もあって体力も必要ですし、大変なところだと思いましたが、今はやりがいのほうが上回っています。

 

 

臨床検査技師は患者さんに直接会わないこともありますが、私たちが誰よりも早くデータを見るので、そこから推測されることを考えなければいけません。病棟の患者さんのデータで気になるところがあれば、技師から医師に連絡を入れることもあります。医師も当然データを確認するのは分かっていますが、まず私たちが患者さんの異変に気づかなければならないとの気持ちでいます。先生方も、私たちのそんな姿勢を尊重してくれていて、耳を傾けてくれます。

学ぶことは、すごくたくさんありますね。日々、学びがあるおかげで経験値も知識も増えていますし、やりがいにもつながっています。

 

 

とはいえ、最初はわからないことが多くて大変でした。でも、学ぶ機会も部署の中に整っていて。特に成長の場になっていると思うのが、部署内でのスキルアップのための勉強会や診療科の先生方とのカンファレンスです。そこで、自分で経験していない症例も学ぶことができます。また、月に1回程度、検査部全体で勉強会もしているのですが、そこで「こんな症例があった」「今はこんなことをやっている」といった発表をします。そういう場があることでいろいろな情報が得られるし、自分も話さないといけないので日常的に気が引き締まります。また、自分が報告・発表してきた内容を振り返ったときに、成長したなと実感できます。

 

 

ほかの技師さんも学びに熱心ですか?

職場にいる全員が、高いモチベーションを持っていると思います。

皆しっかりと自分を持って、やるべきことに向かって進んでいる気がします。

 

その原動力は、やはり患者さんです。この病院に来られる患者さんは重い症状の方も多いです。稀な症例もあって、データを見ながら「良くなってほしいな…」と思うこともたくさんあります。

 

その患者さんたちの治療計画のベースとなるのが検査結果ですから、私たちの仕事は責任重大です。自分で行った検査には自分で責任を持たなくてはという気持ちが出てきますので、意識せずとも学ぶ姿勢になっていきます。

 

 

誰かに「背伸びをしなさい」「成長しなさい」と言われることはありません。無理をしなくていいんです。それがすごくいいところです。「今は、いっぱいいっぱいで何もできない」なら、その状況を分かろうとしてもらえたり、時期を待ってもらえたりもします。学会で発表したいと思えば支援してもらって発表もできるし、認定資格を取りたいといえば取れるよう配慮してもらえます。国際救援や災害派遣の活動などもあるので、手を挙げればチームに参加できます。選択肢はたくさんあるけれど、どれを選ぶかは自分に任されている。その強制されていない状況と、毎日の中に学びの刺激がたくさんあることの相乗効果で、いい結果につながっていたり、モチベーションを高く維持できるのだと思います。

 

 

浅長さんの今後の具体的な目標はありますか?

まずは取得している先輩方も多いので、超音波(エコー)の認定技師になることです。もうひとつは、今担当している筋電図検査ですが、ちょっと珍しいので資格取得者は数多くありません。部署内に精通している先輩がいるので、しっかり勉強させてもらって、資格を取りたいと思っています。

 

 

はっきり言って、臨床検査技師は病院の中で表立った存在ではありません。担っている検査の分野によっては患者さんにもあまり会わないですし…。でも、専門知識を持つようになれば、チーム医療を通して治療にもっと関わっていけます。それがすごく私の中では魅力です。技師は治療の入り口に立っているので、場合によっては医師に頼られることもあります。重みもあるし、患者さんに対する責任も重大になってきます。それでも、がんばっていきたいです。

 

 

先日、検体検査機器の総入れ替えがあったと聞きました。

病院側も業務改善等のバックアップをしてくれていると感じますか?

 

はい、病院からもバックアップしてくれていると思います。

まだ、新しい機器に慣れていないのではっきりとはいえませんが(※取材時は検体装置の全面更新から1ヵ月後)、検体をそれぞれの機器に自動的にセットする搬送ラインができたので、検査にとりかかるための業務が減りました。また、検査結果がバーコードでカルテと連動しているので間違いが起こりにくくなると思いますし、作業効率・再現性も向上しているように感じます。

 

 

ただ、機械を動かすのは人ですから、メンテナンスや監視する仕事は増えています。患者さんに迅速に精度の高い検査結果を出せるように環境を整えてもらったのはありがたいです。早く慣れて無駄な業務を減らし、うまく時間を使えるように皆で考えていきたいです。

 

 

検査技師を目指す皆さんにメッセージをお願いします

和歌山には今のところ臨床検査技師の資格が取れる学校がないので、ほとんどの学生は県外で学ばれていると思います。この病院は皆の仲が良くて、県外からIターンで来た私もすぐ馴染むことができました。和歌山は海もきれいで素敵なので、県外出身者の皆さんもエントリーしてもらいたいですね。

 

いろいろと難しいことをさせられるかも…と思うかもしれませんが、新しいことをするときは研修プランがあり、段階を踏んでステップアップします。無理なく成長させてもらえるので、大きな病院ならではの経験をしたいと思う方は、ぜひ日赤和歌山医療センターへ来てください。

 

 

浅長 麻莉子

2015年入職。臨床検査技師。

興味のある分野は、生理検査(乳腺エコー、筋電図)。

 

 

 

 

 

 

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