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生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。
2025/10/03
思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師に、女性特有のからだの不調や病気のことを伺います。
毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。
この連載以外でも、最近、名前が知れわたるようになってきた子宮内に装着する器具「ミレーナ®」は、子宮内避妊具の1つです。有名人が活用していることを公表するなど、認知度が高まっていますね。避妊具ではありますが、月経困難症の改善など治療にも使います。

今回の記事ではミレーナを活用した避妊についてお伝えします。高い避妊効果があるメリットがある一方で、これだけに頼ると性感染症のリスクがあるなど注意も必要です。
ミレーナを活用した避妊についてメリットとデメリットそれぞれをお伝えします。挿入を検討している女性や、女性側でできる避妊方法について関心のある人に、ぜひ読んでいただければと思います。
ミレーナのメリット
以前の記事(避妊(必要性と方法))では、ミレーナの長所として避妊効果を5年間維持できること、月経不順や月経痛の治療にも有効であることを掲載しています。つまり、避妊効果を求めているだけでなく、月経の辛さにも悩んでいる女性には有効な器具だといえます。
ミレーナは、レボノルゲストレルという黄体ホルモンを継続的に子宮内に放出し続けることで、子宮内膜を薄くして受精卵が着床しにくい状態にし、また子宮の入り口の粘液の性状を変化させることで精子が子宮内に入りにくくなります。こうした作用により避妊率は99%という高い避妊効果を発揮します。一度挿入すれば、5年間避妊効果が持続します。また妊娠を希望する時が来れば、器具を取り外せばすぐに排卵が戻り、妊娠が可能な状態になります。
・低用量ピルと同等の避妊効果がある
・女性側で避妊ができる
・月経量が減り、月経痛も軽減できる可能性がある
・低用量ピルのような飲み忘れの心配がなく、毎日の服薬管理が不要で、ライフスタイルに左右されにくい
ミレーナ挿入時に痛みを感じる人がいたり、治療中の病気との兼ね合いなどにより誰でも装着できるわけではありませんが、条件が合えば、よい避妊方法となります。
メリットの多いミレーナですが、デメリットもあります。
不正出血や軽い腹痛は、装着して最初の数カ月に生じる場合があります。半年ほどで落ち着くことが多いですが、症状がつらいようであれば、産婦人科医と相談しましょう。
起こり得る合併症
①脱出
ミレーナが子宮の収縮などにより外に出てしまうことがあります。最初の数カ月で起こりやすいと言われています。その場合月経量が多くなったり、長期間出血が持続することがありますので、症状の変化があれば、相談しましょう。ミレーナの位置がずれていないか、超音波検査での定期的な観察も必要です。
②感染症
子宮内感染のリスクが少し高まります。骨盤内感染に進展すると、強い腹痛や発熱を伴い、将来的に不妊につながる恐れもあるため注意が必要です。ミレーナで避妊しているからといって、コンドームを使用せずに性行為を行うと、性感染症のリスクがありますので、性感染症の予防のためにはコンドームも併用しましょう。
③子宮穿孔
まれですが、ミレーナが子宮を突き抜け「穿孔」が起こる場合があります。子宮穿孔が起これば、強い腹痛や出血が起こり、手術により器具を取り出す必要があります。
④異所性妊娠
ミレーナは高い避妊効果を発揮しますが、100%ではありません。ミレーナ装着中でもごくまれに妊娠することがあります。子宮内に妊娠することもありますが、子宮内膜が薄くなっていることにより着床しにくくなっているため、異所性妊娠のリスクが上がると言われています。ミレーナを装着していると、月経量が少なくなったり、無月経になることもありますので、「月経が来ない」というだけでは妊娠と区別しにくいのが難しいところです。妊娠によくある症状(吐き気、乳房の張りや痛み、眠気、だるさ)などの症状がある時は妊娠のサインかも知れません。また強い腹痛があった場合は異所性妊娠の可能性もあります。いつもと体調が違う時には、妊娠も念頭に、産婦人科で相談しましょう。

ミレーナは、「高い避妊効果」「長期間の安定した使用ができる」「低用量ピルと異なり毎日の服薬管理が不要」などのメリットがある避妊法です。ただし、体質や子宮の状態によっては、使用に向かないこともあります。装着し始めの副作用や、まれではありますが合併症が生じることもありますので、メリット・デメリットをよく理解した上で決めましょう。そして、ミレーナを装着した場合は、定期的な診察を受け、体調変化にすぐ気づけるように心がけましょう。
さて、次回からのテーマは妊娠です。
女性が妊娠したときに体が出すサインを知っておくと、妊娠時に早く気付きやすくなり、産婦人科の早期受診につながります。子宮外妊娠だった場合にも、早期受診は大変重要ですので、「妊娠したらどうなるのか」を知っていただきたいと考えています。

山西 恵(やまにし めぐみ)
日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。
学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。
悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。