生まれる、成長する、学ぶ、悩む、暮らす、産む、寄り添う、過ごす、老いる…。 どんなときも 自分らしく、そして 健康に生活するために、産婦人科医から 身体のこと、体調のこと、病気のこと、予防や対策などをお伝えします。

子どもの月経に対するケア

2024/12/24

思春期から老年期まで全ての女性へ向けて、産婦人科医で女性ヘルスケア専門医の山西恵医師が、女性特有のからだの不調や病気のことを解説します。

毎日の生活をもっと元気に、豊かに! 一緒に学んでいきましょう。

 

今回は、保護者の方へ向けて、月経のケアについてお話をしていきたいと思います。

 

 

現代は、小学生の間に初潮を迎える子どもも多く、保護者のサポートが不可欠です。初潮を迎える平均年齢は12歳2ヵ月との調査報告があり、おおよそ10歳から14歳ごろの間に迎えます。

 

初潮の年齢は個人差があり、近年、若年化傾向にあります。

(月経が来ない、月経痛があるなどのお悩みについては、別の記事に詳しく書いています。

思春期に起こりやすい月経トラブル」をご一読ください)

 

 

子どもの月経への準備

子どもが初潮を迎える前に、月経について、女性のからだの仕組みについて、正しい知識を共有しましょう。月経は自然なことで、健康的な体の一部であることを伝え、不安を和らげることが大切です。生理用品の使い方を事前に説明し、準備しておくと、お互いに安心ですね。

 

おりものが多くなるのは、もうすぐ初潮を迎えるサインの1つです。子どももそのようなおりものの変化に不安を感じていることが多いです。子どもが症状や違和感を話しやすい環境や雰囲気をつくり、プライバシーを尊重し安心感を与えられるようにしましょう。

 

初潮後は、体調に変化が現れることがあります。特に、月経痛やしんどさを訴える場合は無理をせず、休ませることも大切です。症状が長引いたり、日常生活や学校生活に支障が出るようであれば、医師に相談してください。

 

初潮がある年齢によって、また、個人それぞれによって、初潮に対する感じ方は異なります。不安や戸惑い、時には恥ずかしさを感じる場合もあるでしょう。大丈夫と伝え、寄り添いましょう。感情の変化も自然なことだと伝えることで、子どもが自分の体を肯定的に受け入れやすくなります。

そして、健康的な食事や適度な運動が、体調を整える助けになります。

 

 

学校での対処法や持ち物について話し合い、安心して日常生活を送れるようにサポートしましょう。必要に応じて、学校の先生や保健室の職員に協力をお願いすることも1つです。

 

子どもが初潮や体の変化について質問しやすい環境や雰囲気を作りましょう。「困っていることがあればいつでも質問してね」という声かけも良いですし、子どもから質問があった時など、子どもの様子にあわせて応えられるよう準備しておくと良いです。

 

初潮を迎える子どもにとって、保護者が温かく支え、具体的な準備をしてくれることは大きな安心感につながります。この時期を通じて体を大切にする意識を育む良い機会にできれば良いですね。子どもが前向きな気持ちで成長を迎えられるよう寄り添っていきましょう。

 

子どもの月経で気になることが起こったら

下着やナプキンを見せてもらえると診察に役立つこともあります。実物を持参いただかなくても、スマホで写真を残したり、可能であれば、月経の量や色合い、症状などを記録していただけるとよいと思います。

 

 

月経については、とても個人差があるので医師はそれぞれの症状や生活様式、体の状態を診察時に聞きますが、その時は少し恥ずかしいかもしれませんが、正直に話してください。しっかりと医師に伝えていただくことで、適切な治療や的確なアドバイスにつながります。

 

月経に関する社会の認識も変化していく時代

月経について、これまではメディアはもちろん友人や親子でも、一般的な話題として取り上げられることは少なかったかもしれません。けれど近年は、社会的な議論の中にも月経の話題が出ることが増えてきました。例えば、2023年の秋に、文部科学省が月経での体調不良は公立高校入試の追試験対象になるとの方針を固めました。月経困難症や月経前症候群(PMS)が知られるようになり、配慮を始める方向だそうです。

 

これは1つの例で、女性を取り巻く社会環境はどんどん変化しています。保護者が思春期を過ごしていた時代と、状況が変わっていることもあるでしょう。今まで我慢するしかなかったことが治療できるようになったり、生理用品もさまざまな種類が出てきたりして、女性が快適に過ごせるようになってきています。

 

 

積極的に情報収集をすることも、健やかな日常を過ごす方法の1つです。世間のニュースや病院からの情報、ドラッグストアの棚に並ぶ生理用品の新商品など、新しい情報に目を向けてみてください。お子さんが楽に過ごせるヒントが見つかるかもしれません。

 

今回で「月経」をテーマにした記事は最終回です。

このテーマの記事を通して、月経は個人差があることをわかっていただき、体の状態によっては治療もできるし、悩みは医師に相談できることをお伝えしたいと思っていました。皆さんが知りたかったことをお伝えできていたでしょうか?

 

月経に伴うつらさを感じているなら、ぜひ産婦人科(年齢によっては小児科)でご相談ください。

 

 

山西 (やまにし めぐみ)

日本産科婦人科学会産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会認定女性ヘルスケア専門医。

学生時代はバレーボールを楽しみましたが、現在は育児と肩の痛みで鑑賞専門です。健康管理の大切さを身に沁みて実感しているため、いつかバレーボールを思い切りプレーできる日を夢見て、体力づくりをしていきたいです。

悩める患者さんやご家族のご希望に寄り添った診療を心がけています。すこやかな日常が送れるようサポートしていきたいと考えています。気軽にご相談ください。

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日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

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