がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

がん治療効果や方針判定に役立つ腫瘍マーカー

2019/10/15

平岡先生は京都大学医学部を卒業して放射線科医となり、2007年には京都大学医学部附属病院がんセンターの初代センター長に就任。2015年の退官まで20年以上にわたり京都大学大学院医学研究科の教授としてがん治療に関わり続けてこられてきました。

 

がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んでこられた平岡先生に、がんについてわかりやすく教えていただきましょう。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

 

 

さて、引き続き、腫瘍マーカーについてです。

前回は、腫瘍マーカーの値だけでは、がんかどうか診断が難しいということをお伝えしました。

 

では、どんな場面で腫瘍マーカーは有用なのか?

役立つ場面について、説明していきましょう。

 

 

腫瘍マーカーは早期がん発見より治療に役立つ

 

腫瘍マーカーの有用性が明らかなのは、治療方針、治療効果の判定です。

マーカーの値、上昇スピードは治療を急ぐか、治療内容をどうするかの指針になります。

 

治療の選択肢が増えた現在、腫瘍マーカーの値から指標を得られるのはありがたく、腫瘍マーカーの大きな役割といえます。

 

例えば、ゆっくりしたもの(例えば、前立腺がん)は、急いで治療を開始する必要がないかもしれません。

 

 

また、その値の推移によって、今実施している治療が有効かどうかも判断できます。

 

このように、腫瘍マーカーはがんを発見する以外にも、医療現場で大いに役立ってくれているのです。

 

 

腫瘍マーカーは、がん検診の変わりになる?

 

簡便な検査のため、健康診断や人間ドックにオプションで付けられることも多い腫瘍マーカー検査。「せっかくだから」と追加を検討する方も多いことでしょう。

 

腫瘍マーカーの中でも、PSAは前立腺、CA19-9はすい臓、AFPは肝臓など、多くは特定のがんと関連性があります。

 

 

しかし、CEAは大腸がんとの関連性に加え、他の消化器がん、肺がん(腺がん)、子宮頸部がんでも上昇することが分かっており、特定の臓器がんかどうかの判断が難しいため、スクリーニング検査としてがんの可能性を知るために広く用いられています。

 

つまり、腫瘍マーカーだけでは、がんかどうかの診断はほとんどできず、画像診断等の検査結果と合わせて、総合的に判断します。

 

 

値が上昇した項目によって、重点的に調べるがんを絞れることは腫瘍マーカー検査の利点です。しかし、たとえ正常値の範囲内であっても、数値に表れる以前の早期がんは否定できません。

 

腫瘍マーカー検査を受けているから安心ではなく、定期的にがん検診を受けていただくことをお勧めします。

 

 

平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)

日本赤十字社和歌山医療センター院長。

1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員などを務めるがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年から現職。

 

 

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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