海外の紛争・災害などに対して、医師や看護師などの職員を派遣し、国境や宗教、人種を超えて人の命と健康、尊厳を守る活動に取り組んでいます。

安全管理研修の今

2019/11/16

日本赤十字社の国際医療救援要員(以下、要員)として登録されるためには、いくつかの必須研修を修了する必要があります。

 

そのうちの1つである、安全管理研修Ⅱが2019年8月に日本赤十字社本社(東京都港区)で開催されました。この研修は、日本赤十字社では2007年に初めて要員の安全管理に特化した研修を行って以降、最新の情勢を反映しながら年2回(冬と夏)、実施しています(2007年に安全管理研修が初めて導入された背景やその目的などについては、Hot 和歌山情報局 2019年4月20日付「海外での安全管理」をご参照ください)。

 

 

安全管理研修は、要員が派遣先から「笑顔で家や職場に帰ること」を目的としています。私は、普段、病棟の看護師として勤務していますが、派遣される地域や状況によっては、日本と大きく違う環境で働くことになります。

 

研修では、安全を確保して赤十字の活動を進めるために、要員が直面する様々な脅威の見極めや分析の方法、予防策・緩和策等の基礎的な知識を学び、行動にうつすことができる能力を身につけることを目指します。

 

赤十字活動における安全管理は、

7つの柱

・受容

・識別

・情報

・通信

・行動

・規則

・防御

を基本としています。3日間にわたる研修中、一貫して登場した言葉が「受容」でした。安全確保にもっとも効果を発揮する重要な戦略は、対象地域で赤十字の存在やその活動が現地の人々に受け入れられることだというのです。

 

そして、現地で受け入れられるためには、まずは支援する側の私たちが地域の習慣や文化、社会的背景などを受け入れることが必要になります。

 

 

3日間の研修では、要員をとりまく様々な脅威(感染症、地雷・爆弾・武器、群衆・暴徒、人質・誘拐など)や要員個人の安全管理について、座学やグループワークを通して学びます。

現地で安全に関する最新情報をどのように得るのか、また、活動拠点を決定する際に注意すべき点など、活動そのものを安全に進めるための準備が、危機的状況を予防・軽減することに繋がります。

 

 

銃撃戦に巻き込まれた時の自己防衛方法などは、ロールプレイを通じた臨場感のある実践的な講義で、自分が実際に同じ状況に陥った場合どういう行動をすべきか、具体的にイメージすることができました。

 

また、群衆が些細なきっかけで暴徒化することがあるという講義を受け、日本での日常生活ではあまり目の当たりにしない状況なので、その変貌への兆候に気づくためのセンサーを身に着けることが自分の今後の課題であると感じました。

 

今回の研修には、赤十字職員だけではなく、他の人道支援機関で活動される方も多く参加されており、活動中の自身のふるまいや現地の方とコミュニーケーションをとる上で注意すること、組織同士の協力関係などの他、現地での切迫した実体験を聞くこともでき、国際情勢や世界の赤十字の活動への意識をより強めることができました。

 

 

  日本赤十字社和歌山医療センター 国際医療救援部  

 

 

「和歌山から世界へ」では、様々な国際活動をレポートしていきます。出発式のほかにも、現地での活動、帰国報告会、国際人道法や語学・熱帯医学などの研修風景などをお届けします。乞うご期待!

 

詳しくはこちら

日本赤十字社 和歌山医療センター病院サイトはこちら

Share

この記事を気に入ったならシェアしよう!

Related Articles

関連する記事