がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んできた平岡院長が、がんについてわかりやすく解説します。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

乳がんや肝臓の診断に大活躍の超音波検査

2019/08/20

平岡先生は京都大学医学部を卒業して放射線科医となり、2007年には京都大学医学部附属病院がんセンターの初代センター長に就任。2015年の退官まで20年以上にわたり京都大学大学院医学研究科の教授としてがん治療に関わり続けてこられてきました。

 

がん放射線治療の第一人者であり、高度医療に取り組んでこられた平岡先生に、がんについてわかりやすく教えていただきましょう。ティーカップを片手にお気軽にお読みください。

 

前回に引き続き、超音波(エコー)検査の話題をお届けします。

 

超音波検査が有用とされているのは、頸動脈、甲状腺、乳房、心臓、腹部(肝臓、胆臓、膵臓)、骨盤部(腎臓、卵巣、子宮、膀胱、前立腺)などですが、その中から乳がんの診断と腹部臓器の診断について注目して解説します。

 

 

デンスブレスト女性と超音波検査

 

乳がんの診断で今話題になっているのが、デンスブレスト(高濃度乳腺)女性の超音波検査です。

乳がんの検診では、多くの場合でマンモグラフィを用います。

乳房内に脂肪が多いとマンモグラフィでの診断が容易ですが、脂肪が少ない場合には、乳房全体が白く写り診断が困難なことも少なくありません。

 

この乳房内に脂肪が少ない状況をデンスブレストと言います。

デンスブレスト女性は欧米人には少なく、日本人に多いとされており、なんと日本人女性の50%前後がデンスブレストともいわれます。

 

これは、日本人女性は比較的ほっそりした人が多く、乳房内に脂肪が少ない人が多数を占めるからです。

 

つまり、多くの人が乳がん検診をマンモグラフィで受けていますが、その画像からは乳がんの診断が困難な可能性があるということです。

 

それはマンモグラフィの弱点ともいえます。

しかし、その弱点を超音波検査が補えるとの報告が最近ありました。

 

マンモグラフィで受けた乳がん検診が「異常なし」でも、超音波検査でがんが見つかるケースがあるのです。

 

この検査の重要性が増しています。

「あなたの乳房は、デンスブレストの傾向が強い」と医師に言われた場合は、超音波検査の追加をお勧めします。

 

肝臓の診断・治療に超音波が大活躍!

 

さて、超音波検査は、腹部臓器の診断にも用いられます。

 

 

中でも、肝臓がんの診断には極めて有用です。

アルコールの摂取過剰で、肝臓に中性脂肪がたま って起こる脂肪肝も良く分かります。最近は、アルコールを摂取しなくても脂肪肝になる非アルコール性脂肪性肝疾患の人も増えているので、多くの人に有用です。

 

また、早期の肝臓がんの治療でも、超音波は威力を発揮!

 

肝臓がんの治療では、高濃度のアルコールを注入してがんを死滅させる治療が広く行われていますが、そのアルコールをがんに注入する際、超音波画像で位置を確認しながら慎重に行います。これにより、正常な肝臓を傷めないよう的確にアルコールを注入できます。

 

 

このように超音波は検査だけでなく、治療にも使われています。

日本だけでなく世界中で使われていて、その安全性も確立されています。安心して検査を受けてくださいね。

 

ただ、腹部超音波検査は食べた物や水分摂取によってお腹の中が動いて画像が乱れたりするため、午前中に検査をされる日は、朝食は絶食で行います。それが辛いという方もいると思うのですが、ご協力をお願いいたします。

 

 

ここまでCT、MRI、超音波と画像診断機器の話題が続きました。

 

次回からは、もっと簡便ながん検査である腫瘍マーカーについて取り上げていきます。

 

 

平岡 眞寛(ひらおか まさひろ)

日本赤十字社和歌山医療センター院長。

1995年43才で京都大学 放射線医学講座・腫瘍放射線科学(現:放射線医学講座 放射線腫瘍学・画像応用治療学)教授就任、京都大学初代がんセンター長。日本放射線腫瘍学会理事長、アジア放射線腫瘍学会連合理事長、日本がん治療認定医機構理事長、厚生労働省がん対策推進協議会専門委員なども務めるがん放射線治療の第一人者。世界初の国産「追尾照射を可能とした次世代型四次元放射線治療装置」を開発し、経済産業大臣賞、文部科学大臣賞、JCA-CHAAO賞等を受賞。2016年から現職。

詳しくはこちら

日赤和歌山医療センターHP

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